「あ、あの、ゆ、由紀子が、私の下着を全部洗濯して出かけてしまったので、履くものが無くて…。や、野球拳なんてすると思ってなかったので。」
両手で股間を覆いながら、俊樹が、必死に言い訳する。
『ウソおっしゃい、負けて脱がされる事、わかってたじゃない。でも、流石の私も、ここまで予想してなかったわ。しっかりと皆さんに見てもらうといいわ。』
美紀は、自分の筋書きとは少し違う展開にワクワクしてきた。
「だからってね~、あれ、奥さんのショーツかしら、ちょっと派手じゃない。」
役員の囁きが、俊樹にも聞こえる。
『みんなが見てるぞ、隠してないで、手をどけてみたら。』
俊樹の本性が語りかける。
その時、役員の中から声が上がった。
「あ、あのショーツ、ほらっ。」
何か思い出した様に、俊樹に向けて指を指す。
「え、どうしたの。」
何の事かわからない役員が、問いかける。
「見覚えない?前に澤村さんが見せてくれた動画。」
「あっ、あの不審者の?」
「そ、そうよ。澤村さん、あの時の動画って、まだ持ってる?」
『し、しまった。』
俊樹は、ただ女性もののショーツ姿を見られたいだけで、美紀に露出を撮られた時に履いていたショーツだという意識は全くなかった。役員に言われて初めて、
『た、確かに、言われてみると、あの時に履いていたショーツだ。』
俊樹の背中に冷や汗が沸いてくる。
美紀は、自分が撮影したものの、俊樹がどんなショーツを履いていたかまでは覚えていなかったが、俊樹の狼狽えた表情を読み取り、役員からの指摘は、間違いないと確信した。
瞬時に、頭の中で思いを巡らせる。
『ここで、動画を見せてしまったら、決定的な証拠になって、不審者がトシだと皆んなに知られる事になってしまう。動画を消してしまったと言えば、記憶が曖昧だという事で誤魔化す事も出来る。』
どちらにするかの判断に時間は要しなかった。
「え、ええ、まだ私のスマホに残っていると思うけど。」
美紀が、スマホを取り出して、動画を探すフリをする。
「もう一度、皆んなで見てみましょうよ。」
皆んなに向かって、発したのは舞原だった。
「舞原さんが、そんなに言うなら、私も確認したいわ。」
「私も。」
「私も。」
次々に、役員の中から、舞原に同調する声が出る。
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