美紀と瞳が、俊樹と真由美をそれぞれ別々に呼び出す。
【美紀の部屋】
俊樹は、この所、美紀や瞳から声が掛からなかったので少し拍子抜けしていた。
久しぶりに美紀に呼ばれて、少しドキドキして訪ねたが、部屋に入る時も首輪を嵌められなかったので、そのままの格好でリビングに座っていた。
「由紀子さんには、バレてない?」
美紀が、お茶を俊樹に出して話し始める。
「え、ええ、この所、由紀子の実家の父親の具合が良くなくて、私にはあまり構ってくれないので。」
「そう、それならよく実家に帰ってるの?」
「はい、今度の土曜日も、医者に付き添わないといけないとかで、実家に帰ります。」
美紀は、『しめた』と思った。
「それは、都合がいいわ。今度の土曜日に自治会の役員会を開こうと思ってるの。」
「えっ、じゃあ、由紀子に別の日にしろって言わないと。」
「いいのよ。由紀子さんには実家に帰ってもらって。その代わり、代理で俊樹さん(今は普通の呼び方)に出席してもらうから。由紀子さんから相談があったら、実家に帰る方を優先させて欲しいの。分かるわよね。」
その時の美紀の眼は、ご主人様の眼をしていた。
俊樹は、無言でその目力を察知し、
「わ、わかりました。」
と頷いていた。
「それから、ここからが本題よ。今度の自治会は上半期の会計報告なんだけど、役員達の懇親も兼ねて後半は食事会にしようと思ってるの。そこで、ただ食事だけってのも面白味がないので、軽い余興をやろうと思って。」
「えっ、よ、余興ですか?」
何やら、嫌な胸騒ぎが俊樹を襲う。
「大丈夫よ。貴方が不審者だなんてバラす事はしないから。その代わり、奥様方を楽しませる為に、……」
美紀は、計画を俊樹に伝える。
「えっ、そ、それは…」
狼狽える俊樹に、美紀は、
「断る権利はないからね。わかってるでしょ。」
「は、はい。」
俊樹は、受け入れるしかなかった。
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