チ~ン
エレベーターが二人の前で止まった。
扉が開いて誰も居ないのがわかると、
「残念だったわね、誰も居ないわよ。」
そう言うと由紀子は先にエレベーターの中へ入って行った。
リードを引っ張られて俊樹も中に入っていく。
「マンションの中だけは詰まらないから、お外に出てみようか。」
由紀子は1階のボタンを押した。
「えっ、そ、外って。」
俊樹は不安げな表情をしていたが、胸の鼓動が高まっていくのを感じていた。
一人の時は怖くてマンションの外で露出なんてとても出来なかった。
マンションの屋上でも十分にドキドキを味わっていた。
でも美紀や瞳に見つかって、ゴミ収集場に連れて行かれたり映画館で露出をさせられた時は、一人の時には味わった事のない興奮を覚えた。
一人の時には、もし見つかると即通報されてしまうという危険をはらんでいるが、美紀や瞳がいる事で、命令されているからという大義名分を自分の中で持つ事によってビクビクするという部分が取り払われた気分になり、露出に集中する事で興奮の度合いが高まった。
それが今、さらに『由紀子に知られたら』の部分も取り払われて、露出のドキドキと服従するというM性癖の両方を味わえるという高揚感で胸がいっぱいになっていた。
1階に着いて由紀子が先にエレベーターを出た時に、マンションに入ってくる人影が目に入った。
「早く、こっちに来て。」
由紀子は勢いよくリードを引っ張り、非常階段の陰に隠れた。
「うぐっ。」
俊樹は、急に首に力が入り、思わず声を上げてしまうが、エントランスに足音が響く前に素早く隠れる事が出来た。
身を隠しながら、エレベーターの方を見た由紀子が、
「斎藤さんの奥さんだったわ、よかったわね、あの人に見つかると一気にマンション中に知れ渡る所だったわよ。あなたにとってはその方が良かったかもしれないけどね、それじゃ面白くないものね。」
「そ、そんな、俺だって知られない方が。」
「あら、じゃあ、これは何?」
由紀子は、片足で俊樹の股間を突くと、ショーツにお汁が滲んでいた。
「…。」
「さあ、行きましょうか。まだ、誰か来るかもしれないわね。ふふふ。」
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