由紀子は、真由美が立ち去った後、玄関を締めて振り返ると、
「見た?真由美さんの眼、なんかあなたが羨ましそうだったわよ。」
そう言って目線を下にずらすと、
「なにっ、あなた、勃起してるじゃないの。」
「い、いや、こ、これは…。」
俊樹は、恥ずかしそうに両手で股間を押さえた。
「真由美さんには、役員会でたくさん見られたでしょ、どうしてそんなに勃ってるの。」
「あの時は、みんなの前で無理矢理だったけど…。」
「今は、どうしたっていうの?あなたから望んでこんな格好してるって言った事に興奮したの?」
「ああ、田村さんにも変態って思われたんだなと思うと。」
「もう、とっくにそんな事、思ってるわよ。それに真由美さんのあの目は軽蔑の目じゃなかったわよ。」
「そ、そうかな…。」
「さあ、いつまで突っ立ってるの?私の前では四つん這いでしょ。」
「あっ、は、はい。」
俊樹が由紀子の前で四つん這いになると、
カチャ
由紀子がリードを俊樹の首輪に繋いだ。
「さあ、散歩に行きましょうか。」
「えっ、今からですか?まだ…。」
「まだ何よ、そうね、まだ皆んな寝静まって無いと思うけど、あなたにはその位の方がいいんじゃないの。役員の奥さん達はあなたの変態ぶりは知ってるしね。」
「ああ、そ、そうですけど、他の住人には…。」
俊樹が躊躇っていると、
「何をゴタゴタ言ってるのよ。あなたは私には逆らえないのよ。さあ、行くわよ。」
由紀子はドアを開けて廊下に出て、リードを引っ張った。
俊樹は、引かれるままに着いていくしかない。
「あっ、四つん這いだからね。」
「は、はい。」
俊樹も完全に外に出て進み始めた。
「あなた、私の目を盗んで一人でこんな事してたのよね。どんな気持ちだったの。」
歩きながら、由紀子が尋ねる。
「バレないかドキドキで。」
俊樹も四つん這いで着いていきなが答える。
「で、バレちゃったじゃないの。それでどうだったの?」
「警察に突き出されて終わってしまうと思いました。」
「ふふふ、本当はそうなってたかもしれないのよ。」
「えっ、そ、それは、どういう事。」
「あなたが、夜中にこっそり抜け出してた事を、私が知らなかったとでも思っているの?」
「…」
俊樹は、由紀子が何を言おうとしているのか直ぐにはわからなかった。
「私が、美紀さんに頼んで、あなたを見張っててもらったのよ。私が留守にすればきっと動くと思って。それで、実家に帰ってたのよ。」
由紀子はエレベーターの前まで来ると、立ち止まり俊樹の方を振り返った。
「そ、それじゃあ!」
俊樹は、漸く由紀子の策略に気が付き、見上げると、満足そうに微笑む由紀子が俊樹を見下ろしていた。
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