家に入らない訳にはいかず、重い気持ちのままインターホンを押した。
ピンポーン
中から声は返ってこなかったが、鍵はかかっていなかったので、玄関のドアを開けた。
恐る恐る中に入ると、由紀子はリビングのソファーに座っていた。
俊樹「あ、あの~、た、ただいま。」
由紀子は無視している。
俊樹「ご、ごめん、こんな事になっちゃって。」
俊樹は、すまなそうに頭を下げている。
漸く由紀子が口を開いた。
由紀子「よくも私に皆んなの前で恥をかかせてくれたわね。私にも考えがあるので、今日は先に休ませてもらうわ。」
そういうと由紀子はリビングを出て行った。
翌日、目を覚ますと由紀子がいなかった。
「え、どこに行ったんだ、もしかして出て行ってしまったのか…。」
荷物をまとめた形跡はないが、心配になって電話してみた。
トゥルル、トゥルル…
「出ない…」
益々、不安になってきた。
【その頃、由紀子は美紀の家にいた】
美紀「どうだった?昨日は。」
由紀子「謝ってきたけどね、知らん顔してやったわ。内心笑ってたけど。よっぽど堪えた見たいよ。」
トゥルル、トゥルル
由紀子「あら、うちの人からだわ。」
美紀「出なくていいの?」
由紀子「いいのよ、もっと堪えてもらわないとね。」
美紀「由紀子さんも相当ね。」
由紀子「そうかしら?美紀さんよりはマシだと思うけど。」(笑)
美紀「で、これからどうするの?」
由紀子「私に楯突けないようにしてやるわ。美紀さんにも協力してもらうわよ。」
美紀「もう十分に協力してるつもりだけどね。」(笑)
夕方まで美紀の家にいて
由紀子「じゃあ、そろそろ帰るわね。」
美紀「うん、また聞かせてね。」
俊樹は、日曜日だというのに、外に出る事もなく不安な気持ちのまま一日を過ごした。
ピンポーン
俊樹「由紀子か?」
俊樹は、思わずインターホンに向かって叫んでいた。
返事はなかったが、玄関の開く音がした。
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