由紀子「そうよね、覆面取っちゃいましょうよ。役員の皆さんだって正体知りたいでしょうしね。」
由紀子が皆んなに賛同を得るように言うと、
舞原「え、ええ、そ、そうね。」
天海「で、でも、マンションの住人なんでしょ、もし顔見知りだったら気まずいわ。」
自分達は正体を知っているので、由紀子に気を使う役員もいる。
由紀子「そんな事言ってたら、またやってしまうわよ。こんなの病気みたいなもんだから。」
由紀子が何も知らずに発言していると思っている役員達の中から、
米倉「そうよ、真田さんの言う通りだわ。皆んなの前で顔を晒さないと反省なんてしないわよ。」
由紀子に賛成する声が上がった。
米倉『変態の正体が、自分のご主人だと分かった時の顔が見てみたいわ。』
瞳「では、役員会として多数決をとりますね。ポチの覆面をとるのに賛成の方は手を挙げてください。」
由紀子が真っ先に手を挙げる。続いて米倉、舞原が手を挙げた。
小池、伊野、天海、藤原が気まずそうに顔を見合わせている。
瞳「私と澤村さんは賛成なので、5票ね。田村さん、貴女はどっちなの?両手を挙げっぱなしだからわからないわ。」
挙げた手を下ろす事を許されていない真由美は、
「さ、賛成です。」
『真田さん、ごめんなさい。私と一緒に全てを晒しましょ。』
下を向いて、俊樹の眼に訴えた。
瞳「では、賛成多数でポチの覆面を取ることとします。」
俊樹『ああ、そんな、由紀子にバレてしまう。』
瞳の手が俊樹の覆面にかかる。
俊樹は抵抗できずに目を閉じている。
徐々に顎から肌が露わになってくる。
役員達は、俊樹を見る素振りでチラチラ由紀子の表情を確認している。
鼻まで捲り上げられた。
由紀子「黒川さん、一気にやっちゃいましょうよ。」
(まだ気付いてない感じで消し掛ける様に)
由紀子の声に合わせて一気に覆面が剥ぎ取られた。
一瞬、役員達の間に静寂が漂う。
由紀子「あ、あなた!」
静寂を割いて由紀子の声が発せられた。
その表情は怒りか羞恥かみるみるうちに赤らんでくる。
米倉『そうよ、あなたのご主人よ。』
内心ニヤつきながら、由紀子を見つめている。
由紀子「ど、どういう事なの!」
語気を荒げる由紀子。
何も言えないでいる俊樹。
由紀子「よ、よくも私に恥をかかせてくれたわね。」
美紀『ふふふ、由紀子さん、お芝居上手ね。』
俊樹「…。」
あまりの由紀子の勢いに声が出てこない。
役員達も、由紀子の剣幕に押されて黙って見ている。
由紀子「私にも、考えがあるわ!覚えてらっしゃい!」
由紀子は、怒りの表情のまま部屋を出て行ってしまった。
部屋を出る前に、美紀と目が合うと、役員達にはわからない様にウインクをして。
由紀子『どう、私の演技は。後で、聞かせてね。』
美紀『上手だったわよ。動画に納めて見せてあげるわ。』
由紀子と美紀の暗黙の会話がされていた。
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