美紀の報告が終わった所で、
「皆さん、ご質問はいかがでしょうか?」
司会の瞳が、役員達に向けて言うと、一人が手を挙げて話し始めた。
藤原「前に話してた不審者の事なんだけど、その後、何かわかったのかしら。」
小池「そうよね、気になるわね。」
米倉「私も気になってたのよ。夜遅くなる事もあるし。」
次々に、役員達が声を上げる。
『えっ、なんでここで。』
俊樹は、俯き黙っているが、急に鼓動が速くなるのを感じた。
美紀が、役員達の言葉を遮るように、
「その後は、特に通報も無いし、私も毎週夜に見回りを行ってますが、不審者には出会ってません。管理会社にも外部の人の出入りのセキュリティ強化をお願いしているので、その効果が出ているのではないでしょうか。」
舞原「でも、あれはどう考えても内部の人だと思いますけどね。」
美紀が、安心させようとしても、不安を拭えない役員もいるようだ。
『そう言えば、自治会であの動画を流したって由紀子が言ってたな。顔が写ってるのは無かったって言ってたけど、美紀さんのスマホには入ってるからな』
役員達が、不審者の事を思い出した事で、この後、俊樹に予想外の展開が訪れる事になろうとは。
「さあさ、その事は一旦忘れて、食べ物を用意しましたので、お寛ぎください。」
瞳が、やや強引気味に懇親会へと導いていく。
部屋の真ん中を開けて周りにテーブルを置き、食べ物や飲み物が並べられた。
伊野「まあ、豪華じゃない!」
天海「本当ね、コンビニ弁当くらいかと思ったけど、ちょっと奮発したわね。」
現金なもので、目の前の現物を見ると不審者の事も頭から離れたようだ。
「え~、皆さん、食事しながらお聞きください。ここに入られる時にカードをお渡ししたと思いますが、ご覧頂けますでしょうか。」
瞳が、懇親会も仕切り始める。
役員達が、部屋に入る時に渡されたカードに目をやる。
藤原「何のカードかと思ってたら、ここで使うのね。「1」って書いてあるわ。」
米倉「私は「3」よ。」
舞原「私は「7」だわ。」
小池「ラッキー7ね。いい事あるかもね。私は「5」。」
伊野「私は「8」。」
天海「私は「2」ね。」
真由美は、声に出さずにそっとカードを見た。「6」と書かれていた。
俊樹も、声には出さなかった。「4」と書かれていた。
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