俺はソワソワと落ち着かない良子を不審に思いスマホで動画録画することにした。
良子は店内を物色するかのように行ったり来たりしている。
すると化粧品コーナーで立ち止まるとおもむろに化粧水らしきものを手に取り迷いなくポケットに突っ込んだのだ。
「あ、万引きだ」
良子の思いもよらない行動に俺はあ然としていたが良子は気にする素振りも見せずにそのまま店外で出ていったのだ。
俺も良子のあとに続き店を後にし良子を追いかけた。
追いかけながら動画を確認するとバッチリ捕らえることが出来ていた。
「よし、行くか」
俺は良子に声をかけた。
俺「おばさんこんにちは」
良子「あら、智也君」
俺「買い物ですか?」
良子「えぇ、買い忘れがあってね」
俺「俺も弁当を買いにそこのコンビニに行ってきたんですよ」
良子「あ、あらそう」
良子はあきらかに動揺していた。
そんな良子に俺は先ほどの動画を見せた。
良子「え、あ、と、智也君」
俺「おばさん、俺見ちゃったんですよね」
良子「………」
俺「万引きは犯罪ですよね、警察行きましょうか?」
良子「違うの、智也君、これはね違うのよ」
俺「おばさん違わないでしょう。おばさんが万引きしたんですよね」
良子「お願い、そんなに大きな声を出さないで」
俺「じゃあ俺の家近いからそこで事情でも聞きましょうか?」
良子は黙り込んで話そうとしなくなった。
俺は良子の手を引っ張り半ば強引に部屋に連れ込んだ。
俺は部屋に入るとベッドの端に腰をおろした。
俺「おばさん、こっちに来て座んなよ」
良子はしぶしぶ俺に近づき隣に座ろうとした。
俺「おいおい、おばさんはそこに座るんだよ」
良子「そこって?」
俺「床に決まってるだろう」
良子「………」
そして良子は俺に相対して床に正座をしたのだ。
俺「じゃあおばさん、一応言い訳聞いてやるから言ってみなよ」
良子は淡々と話し始めた。
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