俊樹は、もう由紀子は眠っているだろうと思って、そぉっと玄関のドアを開け、家の中に入るとドアに向かって、そぉっとドアを閉めた時、いきなり背後から、
「何してたのよ!」
由紀子が、不機嫌な顔して立っていた。
「ゆ、由紀子、どうしたんだよ。先に寝てて良いって言っただろ。」
遅くなったのを怒ってるんだと思って、俊樹も少しいらついた。
リビングに戻った由紀子に向かって
「今日は、見回りの範囲を広くしたから…。」
遅くなった言い訳を言い始めると、
「電話ばかりしてたんでしょ。」
由紀子の機嫌は治まらない。
「えっ、電話?」
何のことを言ってるのか、さっぱりわからない。
「あなた、見回り中に電話してたでしょ。」
由紀子に言われて、自販機の前で瞳と電話をしていた光景が頭に浮かぶ。
「ど、どうしてそれを。」
心臓がバクバクし始める。
「電話したのよ、そしたら話し中で。」
「で、電話したのか?俺に。」
一瞬、頭の中が真っ白になり、
「い、いや、あれは…。」
誤魔化そうとするが、頭の中は、自販機の前で瞳のパンティを穿いて電話している自分の姿があった。
なんとか言い訳を考えてると、
「会社の人と話してたんだって?」
由紀子が、遮る様に言ってきた。
「えっ。」
俊樹には、一瞬、何のことだか理解ができない。
「あなたが、話し中なので、近くに美紀さんが居ると思って、美紀さんに電話したのよ。」
「えっ、さ、澤村さんにも電話したのか。」
「仕方ないじゃない、あなたが出れないんだから。」
俊樹の心臓は、さらに激しく脈打ってくる。
「そ、それで、何の用だったんだ。」
動揺を悟られない様に、平静を装うも声は上ずっている。
「変な声出さないでよ。」
由紀子は、俊樹の動揺には気付かずに軽くいなすと、先程までの不機嫌さはどこかに消えて、興味深そうな言い方に変わってきていた。
「見たのよ。」
「えっ、な、何を。」
俊樹は嫌な予感がした。
「変質者!」
「あああ」
俊樹の目の前が、真っ暗になった。
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