自販機に向かって進んでいくトシの後ろ姿を見ながら、瞳が、
「美紀さんって、凄いこと考えるわね。横で聞いてて『えっ』って思いながら興奮しちゃった。」
「なんか、自然と浮かんでくるのよね。それでね、トシに自販機の飲み物報告させるでしょ、その時、瞳さん、聞き辛い感じで時間伸ばして欲しいのよ。」
「なるほど、トシを出来るだけあの明るい場所に居させるのね。本当に、美紀さんには感心するわ。」
「もう一つ、指定するのは炭酸の500mlよ。水なんかより飲み干すのに時間がかかるからね。」
「はぁ~」
瞳は、感心し過ぎてため息しか出てこなかった。
「そうとも知らずに、そろそろ自販機に着きそうね。」
「私は、ここから動画撮影するわ、最近のスマホは結構感度いいからね。」
美紀は、スマホをトシに向けた。
トゥルルー、トゥルルー
トシから瞳に電話がかかって来た。
「はいはい。」
「えーっと、左の上からコカコーラ500ml、アクエリアス500ml…」
トシが報告し始めると、
「えっ、何?ちょっと聞こえづらいわ、もっと大きい声で言って。」
「えっ、あんまり大きい声を出すと。」
思わず周りをキョロキョロしてしまう。
「もう一度、初めから言って。」
瞳も結構楽しんでいる。
そんな様子を、動画に収めている美紀のスマホに着信が入った。
「誰かしら?こんな時間に。もしもし。」
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