「さあ、今日はどこを見回りましょうか。」
美紀が、瞳のショーツを穿いたトシに聞いた。
「見回りって、変質者の正体はトシなんでしょ。見回る必要ないでしょ。」
瞳が不思議そうに言うと、
「それもそうなんだけどね、じゃあ、今日は瞳さんもいる事だし、外に出てみようか。」
「えっ、外って、マンションの外ですか?」
「そうよ、〇〇公園までってどう?」
「えっ、いや、流石にそれは…」
トシは気が進まない。
「私と美紀さんがいれば、大丈夫よ。ちゃんと周りを見ててあげるわよ。」
瞳は乗り気だ。
「2対1で多数決ね。」
「そ、そんな。」
多数決って言われれば勝てる訳がなかった。
「じゃあ、エレベーターで降りましょうか。」
エレベーターに誰か乗ってるかどうかという不安より、これから外に出て行かないといけないのかという不安が勝った。
エレベーターが1階に着くと、周りの様子を気にするでも無く、美紀と瞳は玄関に向かって歩き出した。
『周りを見張ってくれるんじゃ…』
心の中で呟きながらも、付いて行くしかないので、2人に置き去りにされない様に追いかけた。
先に玄関を出た2人が、何やらコソコソ話している。
「あそこに誰かいない?」
美紀が人影に気付くと、
「えっ、どこ?」
瞳が、美紀の指差した方向を見て、
「そ、そうね。誰かいるわね。」
2人の会話が聞こえてきて、隠れ場所を探した。
2人は、トシを放ったらかしにして、その人影の方に進んで行った。
「あれ、田村さんじゃない。」
小声で、美紀が言うと
「そうよ、田村さんよ。こんな夜中にどうしたんでしょうね。珍しいわ。」
瞳が応える。
「ちょっと、あの格好見て。」
「本当、かなり短いの着てるわね。あんな田村さん見た事無いわ。」
「声掛けて見ようか?」
こっちは2人いる事だし、真由美の格好も気になって、美紀が言うと、
「え、ええ。」
瞳も、興味ありげな表情をしていた。
2人とも、トシの事など忘れてしまってる様だ。
2人で、真由美に近寄り、
「あら、田村さんじゃないの。」
※元投稿はこちら >>