7階にエレベーターが到着し、ドアが開く時は一度は緩んだ緊張がMAXになった。
真由美は、誰もいないのを確かめるとエレベーターに乗り込んだ。
1階のボタンを押す。
『途中で誰にも会いませんように』
そう思う心とは裏腹にどこかに期待する気持ちも潜んでいた。
幸いにも(不幸にも)、誰にも会う事も無くエレベーターは1階に着いた。
「これを持ってウロウロする訳にもいかないし、取り敢えず捨ててこようかな。」
手にしてるゴミ袋の処理の為、玄関の外にある収集所へと行くことにした。
普段は何気なく通ってる所も、周りを気にしながら進んで行く。
玄関を出ると、外の風がミニから伸びてる脚に当たって秋を感じさせられる。
ゴミ収集所に来ると、幾つかのゴミ袋が置かれていた。
「朝、出せって言われてるけど、やっぱり夜に出してる人もいるんだな。」
生真面目な真由美は、マンションの規則はきっちりと守っていた。
ゴミを捨てに来るだけの行為が、今夜の真由美にとっては十分過ぎるほどの刺激を感じていた。
「じゃあ、戻ろうかな。」
そう思って、玄関に向おうとした時だった。
「あら、田村さんじゃないの。」
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