昨夜は興奮してなかなか寝付けなかった。屋上から部屋に戻ってきた時には心臓がバクバク鳴っていた。なんとか治まり、眠りについたのは夜明け前だった。
由紀子がいないので誰にも起こされる事が無く、目が覚めた頃にはもう昼になろうとしていた。
「もう昼か」
昨夜の興奮を思い出しながら、朝食(昼食も兼ねて)をとろうとしていた時にインターホンが鳴った。
ピンポ~ン
宅配便でも来たのかなと思いながら、
「はい、どちら様ですか?」
インターホン越しに応えると、
「澤村ですけど」
明るい女性の声が返ってきた。
「え、あ、澤村さん、ちょっと待ってください。」
昨夜の格好のまま眠ってしまっていたので部屋着の下はパンティを履いたままだったが、わざわざ履き替える事もないだろうと思い玄関に向かう。
リビングのテーブルの上には首輪とリードの入った袋が無造作に置かれていた。
玄関の扉を開けると、
「こんにちは、澤村さん、由紀子は実家に帰ってていないんですよ。」
美紀が言う前に、由紀子への用事だと決めつけた様に話す。
一人で昨夜の余韻に浸りたい為に、早く追い返そうという思いが無意識に働いたのかもしれない。
「ええ、実家に帰られてるのは由紀子さんから伺ってますわ。ご主人がお一人で困ってられないかと思って。由紀子さんにも時々様子を見てねって頼まれてましてね。お食事とかお困りじゃないですか?」
美紀の表情は少し笑みを浮かべ、何処か艶めかしい感じがした。
「それはどうも、ご心配頂いて、まだ1日ですからね。大丈夫ですよ。」
美紀とは普段から、マンションですれ違ったりすると、「由紀子がお世話になってます」という挨拶をする程度だが、心の中では憧れの女性になっていた。
そんな相手を前に、部屋着の格好(ましてやその下にパンティを)となると、恥ずかしさで顔を背けたくなって来る。
美紀は、そんな気持ちを見透かしてか、帰るそぶりも無く、
「由紀子さんがいない間にちょっとご主人にご相談があるんですけど、お邪魔させて頂いて結構かしら。」
普段の挨拶をする時とは明らかに違う雰囲気を感じていた。
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