カチッ!
首輪にリードが繋がれた。
「さあ、行きましょ。」
「は、はい。」
美紀の家の玄関を名残惜しそうに見ながら、四つん這いになった。
廊下に手を振れると冷んやりとした感触が、先程まで我慢していた尿意を呼び起こす。
それに気付いている美紀は、
「お散歩だから、ちゃんとおしっこさせてあげるわよ。でも、私のいいと言ったところでね。行くわよ。」
廊下を歩き始める美紀の後に、四つん這いのままついて行く。
「下の階に行こうと思うけど、エレベーターがいい?非常階段がいい?」
当然、非常階段の方が見つかるリスクが低い。
「ひ、非常階段でお願いします。」
恐る恐る言うと、意外にあっさりと
「分かったわ、じゃあ、階段を降りましょ。」
と言って、非常階段を選んでくれた。
階段まで来ると、
「先に行って。私は後から行くわ。」
階段を四つん這いで降りるのは降りにくい上に、お尻を突き上げた格好になるので、美紀からはお尻の穴はもちろん、股間からぶら下がってる物まで丸見えだった。
「よく、見えるわよ。お尻の穴丸出しで恥ずかしいわね。これも撮っといてあげるわね。」
カシャ、カシャ
「ああ、こんな姿、撮らないで…。」
「そんな事言ってる割には大きくなってきてるんじゃないの。後ろからでもはっきりとわかるわよ。」
カシャ、カシャ
ひとつ下の階に降りてくると、
「ここは、黒川さんがいる階ね。黒川さんも、ご主人の帰りがいつも遅いって言ってたから、まだ起きてるわよ、きっと。」
自分の家の階と違う階に来ると、同じマンションでも全く違った雰囲気に感じられ緊張してくる。
「この廊下を端から端まで散歩しましょうか。」
四つん這いでみる景色は、想像以上に長い距離に感じてしまう。
『ああ、何とか見つかりません様に。でも、美紀さんと一緒なら。』
そう思っていると、リードが外され
「さあ、行くのよ。」
「えっ、あ、あの、ひ、ひとりで。」
思わず見上げて、美紀の表情を確認した。
「当たり前でしょ、私は、ここで待っててあげるから。もし、誰か来たら非常階段に隠れられるしね。あ、四つん這いはちゃんと守ってね。走ったりしたら大声出すわよ。誰にも会わない事を祈っててあげるわ。それとも、誰かに会いたい?ふふふ。」
「ああ、わ、わかりました。」
美紀を非常階段に残し、長い長いと思われる道のりを四つん這いで進み始めた。
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