土曜の休日、由紀子を送り出してから昼間の時間を持て余しながら、夜が来るのを待った。
由紀子の箪笥の奥にしまい込んであったパンティを取り出すと、足を通してみる。
言いようの無い高揚感が体を駆け巡る。
マンションの住人が寝静まるのを待って、部屋を出る。一応、廊下に出ると左右を確認してエレベーターへと向かう。
確認し終わった時に、エレベーターとは反対側の家の扉が開いたのを気付く事はなかった。
澤村美紀は、週末にはマンションをひと回り見回ってから眠る事にしていた。
責任感が強く、自治会の役員をしている事もあり、誰に言われるでも無く率先して行っていた。今日は単身赴任の旦那からの電話が長引いた事もあって、いつもの見回りの時間をかなり過ぎてしまっていた。もう、見回りする様な時間でも無いのだが、見回りしないと良く寝付けない様な気がして廊下に出てみると、向こうの方に俊樹の後ろ姿があった。
「あら、真田さんのご主人、こんな時間にどうしたのかしら?確か、由紀子さんは実家に帰るって言ってたけど。」
由紀子から実家に帰る事を聞いていたので、こんな夜中に俊樹が外にいる事に違和感を感じていた。
こちらに気付く事もなく、俊樹がエレベーターに乗ったのを見て、声をかけようと近づいて行ったが、会う前にエレベーターの扉が閉まる。
ふとエレベーターのランプを見ると上の方に向かっている。。
「えっ、上なの?どうして。」
てっきり、由紀子がいないので、コンビニにでも買い物に行くのかと思っていたので、上の方にエレベーターがいくのを不思議に思い、そのまま眺めていると
「屋上で止まったわ。」
マンションのエレベーターは一基なので、屋上で止まったのを呼び戻し、自分も屋上に上がってみる事にする。
人の後をつけるのってなんだかドキドキする。屋上についても気配を消しながら、俊樹の姿を探す。
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