「いやだ、そんなに見ないで。」
真由美は、美紀に向かってかざしている瞳の指を手で隠そうとする。
「もう、認めるのね。」
美紀が、真由美に促すと、
「み、認めるわ。だから、もう許して。」
「何を認めるのか、はっきり言ってもらうわよ。」
「そ、その…、み、見られて興奮してた事を認めるわ。」
「自販機で、お茶買ってる時も、わざと私達に見える様にしたんでしょ。」
「…。」
「どうなの?」
「だ、誰もいなかったので、膝を曲げなかったらどうなるかなって思って。」
「丸見えだったわよ。田村さんのお尻。」
「ああ、やっぱり。」
「でも、よかったじゃない、誰も来なくて。それとも、残念だった?」
「そ、それが…。」
「えっ、どうしたの!」
美紀と瞳が、同時に声を上げた。
「エレベーターに乗ったら、真田さんのご主人が入って来て。」
「えっ、真田さんのご主人が!」
また、二人の声が被った。
「そ、それでどうしたの?」
「裾が捲れ上がったままで、ペットボトルを抱えてたんだけどびっくりして落としちゃって。直ぐにかがみ込んだんだけど、見られたかもしれないわ。」
「それで、真田さんはどうしたの?」
美紀が、興味津々で聞いてくる。
「ペットボトルを拾ってくれて、その後は、ずっと背中を向けてエレベーターの扉に向かって立ってたから。」
真由美は、俊樹の背後で、こっそりとワンピースの裾を捲った事は言えなかった。
偶然とはいえ、俊樹が真由美のワンピース姿を見たという事を聞いて、美紀は、
『今度は、トシの番ね。面白くなりそう。』
と思いながら、表情が緩んだ。
それに気が付いた瞳も、
『また、美紀さん、何か思いついたようね。』
自然と表情が緩んだ。
※元投稿はこちら >>