真由美は、美紀の家を出ると、昨日の夜とは比較にならない緊張感に覆われた。
『まだ、こんなに明るいのに、私ったら。』
美紀達に、無理矢理外に出されたとはいえ、ノーパンノーブラで体にピッタリ張り付いたミニのワンピ姿の自分に興奮していた。
『早く、買って戻らなくちゃ。』
もたもたしてると、それだけ誰かに会う確率が高くなる。
エレベーターのボタンを押して、周りを確認する。
チ~ン
エレベーターには誰も乗っていない。
『よかったわ。第一関門突破。』
自分に言い聞かせる。
もし、途中の階でドアが開いたら、と想像して鼓動が激しくなったが、ドアは開く事なく1階に着いた。
ドアが開く瞬間、身構えてしまったが、誰もいなかった。
『第二関門突破ね。』
ゲームをしている様な感覚になる。
マンションの裏口から、通り出て行った。
振り返って、上の方を見ると、ベランダに美紀と瞳の姿が見えた。
『やっぱり、見ているのね。』
ランチどきという事もあるのか、幸いにもここまで、誰とも会っていない。
自販機の前まで来ると、持っていた10円玉を入れ始める。
コトン、コトン、カチャン
何枚か入れると、返却口から戻ってくる。
『もう、また。だから10円玉ばかりなんて嫌だったのよ。』
美紀の策略だと気付いていない真由美は、本気でイラついた。
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