「わ、わかったわ。」
真由美は、美紀達の言う事を受け入れざるを得なかった。
「じゃあ、これお金ね。」
ジャラジャラジャラ
10円玉ばかりがテーブルの上に置かれる。
「い、いいわよ。飲み物買うくらいのお金はあるわ。」
「それじゃ、悪いわよ。私達が買ってきてって頼んでるのに。」
美紀が言うと、
「そうよ、そうよ、これ持って行きなさいよ。」
瞳も同調する。
「で、でも、10円玉ばかりじゃ…。」
戸惑いを隠せない真由美。
「端数貯金で溜まってるのよ、使って。あ、ペットボトル3本で450円ね。」
美紀が、テーブルの上の10円玉を数え始めた。瞳も、手伝って数えている。
それを眺めるしかない真由美。
「…44…45っと。はい、これ。1本づつ買わないと入らないわね。」
美紀は、両手で10円玉を45枚持つと、真由美に渡した。
真由美も、両手で受け取る。ズシリと重みを感じる。
ワンピースにポケットはないので、両手でお金を持つと、手で裾を抑える事ができない事に気付く。
『ああ、そんな…』
真由美は、心の中でため息をついた。
「じゃあ、お願いね。」
「わ、わかったわ。」
真由美は、両手で拝む様に10円玉を掴んだまま部屋を出ていった。
真由美を見送って、美紀が、
「あの自動販売機、10円玉がすんなり入らないのよね。」
「そうよね、私もイライラする事あったわ。」
瞳も、何度か経験ある様だった。
「手こずるわよ。うふふ。」
「美紀さんって、よく、そういう事思いつくわね。感心するわ。」
「瞳さんだって、すぐにそうなるわよ。」
「そうかしら。ちょっと楽しみ。」
「それより、どう思う?真由美さん。」
「もう決まりでしょ。」
「そうよね、きっと、いく前から濡れてたと思うわよ。」
「私も、そう思うわ。」
美紀と瞳は、話しながらベランダに出てみた。
「きたわよ。うふふふ。」
二人の視界に、真由美が現れた。
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