真由美は、旦那が出掛けた後、うとうとして寝てしまっていた所を、電話で起こされた。
「もしもし、田村です。」
「あ、田村さん、澤村です。」
「えっ、澤村さん」
なぜか、真由美の鼓動は速くなる。
「あら、ごめんなさい。お忙しかったかしら。」
「い、いいえ、大丈夫です。ご用件は?」
「今日、ランチご一緒にどうかと思って。」
「えっ、ランチって、私と?」
今まで、一度もランチなど一緒にした事ないのに、『何で』と思っていると、
「そうよ。黒川さんも一緒なの。どうかしら。」
「く、黒川さんも。」
昨夜の光景が、頭に浮かぶ。
『もしかしたら、夜中にゴミ出ししたのを何か言われるのかしら。断って、言いふらされても困るし。』
「わ、わかったわ。どこで、待ち合わせればいいかしら。」
「あ、私の家でするから、出前とってあるし。」
「あ、そ、そうなの。じゃあ、お昼になったらお邪魔するわ。」
「お願いがあるの。昨日の夜と同じワンピースで来てくれない。昨日の服装可愛かったから。」
「えっ、で、でも、あれは部屋着で…。」
「いいじゃない、1階下に降りて来るだけなんだから。夜で色とかよくわからなかったし、いいでしょ。」
「え、で、でも…。」
「じゃあ、お願いしますね。待ってますね。」
返事を渋っていると、電話を切られてしまった。
『ど、どうしよう』
冷静に考えれば、美紀は『昨日のワンピース』と言っただけなので、ワンピースと、裾を短くしてしまったのでスカートでも穿いていけばいいのに、真由美の頭からは『昨日の服装』というのが離れなかった。
「昼間だけど、マンションの外に出るわけでも無いし、仕方ないわ。」
自分にいい聞かせる様に呟いた。
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