マレンは、ルーマーとの用件が終わり、帰ろうとするはるを呼び止めた。
「あれ、冗談ではありませんよね。」
「あれとは、何を指してのことでございますか?」
「貴女が、明日食材とされる、と言うことです。」
マレンは、こんな聞き方をして、はるが怒るのではないか?と心配していた。
ルーマー以下周りの皆は、明日はるが生きながら食べられる事を、冗談だと思っている。
しかし、マレンには分かった。
この女の子は本気なのだ。
それを、冗談では?など聞けば腹が立つだろう。
しかし、はるは立腹するどころか、他国の陣営に使いする者としての礼儀を守りつつ、
「はい、明日、私が食べていただきます。」
と、ごく平穏な表情で返事をした。
マレンは、「やはり..」と心の中で頷くと、はるに
「陣営のことで、大した物はありまんが、貴女をおもてなししたいんですが..」
と食事に誘った。
しかしはるの答えは
「お気持ちは、ありがとうございます。
でも、直ぐ殿様に復命しなければ..」
「私も軍人だから、それは分かります。
でも、貴女。食料が尽きてから、何日か食事してないんでしょう。
そのくらいは..」
気遣うマレンに対し、はるはにっこり笑うと
「ありがとうございます。
でも、私、昨日殿様が食材に私を選んでくださってから、固形物は食べないようにしてるんです。
せっかくお料理していただくのに、穢らわしい物がお腹の中に残ってるといけないから..。」
マレンは、はるの心を掻き乱したくなかった。
しかし、何の不安も怯えもなく、天真爛漫に微笑むはるを見ていると、急に目が熱くなり、涙が溢れそうになった。
マレンはたまらず、はるをぎゅっと抱き締めてしまった。
数秒してはるを放すと、
「明日は、司令官にお願いして、私も訪問させていただきます。
また、お会いしましょう。」
そう言って、敬礼した。
殿様の夜営地に戻ったはるは、殿様に復命すると、その後直ぐにフィンフのもとに駆けつけた。
「フィンフ様。帰りが遅くなって申し訳ありません。
お願いいたします。」
これから、はるは明日料理される食材として、その下準備をしてもらうのだ。
はるは、着ている物を全て脱ぎ、全裸でフィンフの前に立った。
「両腕を上げよ!」
はるは、フィンフの命令で両腕を高く上げた。
フィンフのどんな小さな過失でも見逃さない視線が、はるの首から下の体毛を探した。
「手足を伸ばしたまま、四つん這い!」
言われるまでも無く、はるは大きく足を広げてフィンフの視線を受ける。
「体毛のお手入れは、出来てるようじゃ。」
殿様のお屋敷に来て直ぐの時、部屋の掃除を命じられ、何度やってもドライ、フィンフから落ち度を見つけられ、叱られた。
やっと、
「はる。掃除くらいは、出来るようになったようじゃ!」
と言われた時は、舞い上がる程嬉しかった。
今も、その時と同じ位嬉しい。
灯りを強くして、身体中の穴を丁寧に調べられる。
目、耳、鼻、口、臍、尿道、膣、肛門、全てフィンフが拡げ、指や棒などを挿入し、不潔ではないかと調べられた。
はるは、故郷で初めて殿様から召された時から、その時その時出来る限りの身体の手入れはしてきた。
あの不潔で、余分な食料や水さえ無い農場でも、飲み水を節約してでも、身体を清潔にしようと努力してきた。
自分の身体は、殿様の物。
粗末にしてはならない。
何時でも殿様から使われて、壊されても良いように..。
その努力があってか、今日の厳しいフィンフの検査でも、文句の付けようがなかった。
「はる。私は嬉しく思う。」
フィンフが誉めてくれた。
いつものように、全く顔は無表情で、口調は冷たい。
しかし、それがフィンフの最大の誉め言葉であることも、はるは知っていた。
「はる。
これから、貴女の体内に香油の成分を注入しする。」
フィンフは、良い香りのする水を湛えた壺を用意していた。
壺からはゴムの管が突き出ている。
「本来なら食材となる奴隷は、最低5日前から特殊な食事をして、解体された時に生臭みが少なく、肉に良い香りが着くようにしなければならない。
しかし、今回貴女はそれをする暇が無かった。」
はるは、初めてドライとフィンフから教えを受けた時のように、床に正座して神妙に聞いた。
「完全には無理じゃが、明日までに貴女の身体に香りを着けるため、口から胃へ、尻から腸内へ、尿道から膀胱へ、膣から子宮にと香油の成分を入れた水を注入する。
出来るだけ薄めてはいるが、体内の粘膜にはかなりきつく感じる筈。
そして、胃や腸が焼けたようになる。」
はるは、分かりました、と言う代わりに、額を床に着ける土下座をした。
頭を上げたはるに、フィンフは1リットルほどの液体が入った器を差し出した。
「これを飲むがよい。」
その器に満たされた液体は、確かに良い香りがしたが、唇を着けるとぴりぴりとした刺激を感じた。
一口飲むと、不自然な強い苦味を感じた。
自然にある植物で食べて毒となるものは、口に含んだ時に苦味を感じることが多い。
まさにそんな味、刺激だった。
美味しい美味しくないの問題ではなく、明らかに毒と分かる液体だった。
器に口を着けたはるに、フィンフは
「とても飲みにくいものじゃ。」
と言った。
フィンフ様、先にお飲みになってる!
賢いはるは、それを感じ取った。
フィンフ様に気を使わせてはならない。
はるは、一気に器の中の液体を、全て飲み下した。
口の中から食道へと、高い香りが落ちて行く。
それにつれて、熱い焼けるような刺激が喉から胃へと広がっていった。
「はるよ。毒と分かっていながら、やはり飲み干したか。」
フィンフの冷酷な口調が、崩れつつあった。
続いて、はるは四つん這いで、肛門からゴム管で同じ液体を注入された。
ゴムの管に着いている小さなポンプをフィンフが握る度に、50cc程の液体が注入されていく。
そのうち、その量ははるのような小柄な女性の腸内容積の限界を、遥かに越えた量となった。
排便をしたいと言う感じはなかったが、口から飲んだ時と同様に、いや、もっと苦痛を伴う焼けるような強い刺激が、肛門から腹部全体へと広がった。
四つん這いのまま、じっと目を閉じて耐えているはるだったが、その腹部は異常に膨らみ垂れ下がった。
今はフィンフがポンプを握る度に、腹部全体にびん!びん!と張り裂けそうな痛みが広がる。
そんなはるの腹部を下から撫で擦りながら、フィンフが言った。
「はる。苦しいであろう。
ここなら、殿様に聞こえることは無い。
辛かった、泣いてもよいのだぞ。」
はるは、うっすらと目を開けて、フィンフに向かって顔を横に振った。
4000cc以上の液体が注入され、管が抜かれると同時に、太さが5センチくらいある栓が肛門に押し込まれた。
フィンフは完全に表情が無くなった。
僅かでも気を抜くと、自分が泣きそうな気がしたのだ。
小さく硬いはるの肛門を裂き破りそうな勢いで、太い栓の底に手のひらを当て、一気に押し込んだのだ。
さらに、やや細いゴム管で、はるの膣と尿道にも、同じ液体を注入した。
膣にも尿道にも、300cc位は注入された。
焼ける痛みは、ますます激しかった。
はるは、じっと動かず声も出さずに痛みに耐えていたが、途中何度も激しい吐き気と腹痛を感じた。
はるは少しだけ、不安を感じた。
もしかしたら、私はフィンフ様のしてくださる下準備に耐えきれず、明日の料理を待たずに死ぬのではないか..。
そんなことになったら、殿様がどれ程恥をかくことになるか!
急にはるの表情が翳ったのを、フィンフはちゃんと見ていた。
「はる。苦しいであろう。
しかし、心配するでない。
お前が明日、ドライ様と私から料理されるまで、お前の命は絶対に持たせる。」
その一言で、はるの心はまた平穏に戻った。
はるは、体内に大量の毒を含む液体を注入されたまま、一晩を過ごした。
許されて、四つん這いから床に身体を横にしたが、やはり苦しさで眠ることは出来なかった。
しかし、そんなはるに、フィンフも一睡もせず見守っている。
はるは、何度も
「フィンフ様。
私に異常があれば、必ずお知らせします。
どうか、フィンフ様はお休みください。」
とお願いしたのだが、聞き入れてもらえなかった。
フィンフは一晩中、はるの髪の毛と膨らんだお腹を撫で擦ってくれていた。
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