無条件降伏しかありえないのに、休戦交渉を受け入れくれた連邦軍の指揮官ルーマーは、以前殿様がドライとフィンフの乳房を料理してもてなしたファンの直属部下だったと名乗った。
ファンは以前は外交使節とし帝国に来て、殿様と交流があったが、その際にルーマーも使節団に入っていたそうだ。
「若い女性の乳房を食べたそうですね。
私も食べてみたいものですな。」
かっての上司の思い出話から、二人の指揮官の話は、思ったより和やかな雰囲気で進んだ。
「ほう!それでは、その時に片方の乳房を切り取って我が上司にご馳走してくれたのは、貴女でしたか。」
殿様の横で、一人だけ付き添うことを許されていたドライが、ファンが食べた乳房を切り取られた本人であることは、重ねて大変ルーマーを感心させた。
ルーマーの上司のファンは、その後帝国とは別の戦線で大敗し、部下の半数どころか、自分の息子まで見捨てて逃げ、自分だけは逃げ延びた。
帝国でも卑怯者と評判がたったが、それから一年後、ファンは再び同じ敵と戦い、今度は敵を完膚なきまでに殲滅して、再び有名になっている。
二人の指揮官が別室で会見している時、フィンフとはるは、別室に待たされていた。
そこに二十歳くらいの連邦の軍服を着た女性が現れた。
「失礼ですが、フィンフ殿ですか?」
全く面識の無い女性だった。
フィンフが、そうです、と答えると、その女性は
「ルーマー司令の次席幕僚のマレンです。
貴女から身体をご馳走してもらったファンの長女です。」
と名乗った。
「貴女とドライ殿とことは、父から直接聞いています。
今日はどうしても貴女達に感謝したくて、ここに参りました。」
と言った。
もう数年前に、彼女の父親に自分の肉を食べてもらったからと言って、今さら娘に感謝されるのもおかしな話..。
フィンフはそう思ったのだが、マレンの話たいことは、それでは無かった。
「父は言っていました。
あの時のお二人は、天使のような輝いた表情だった。
それは、自分の大切な人に、自分が役に立っているのだ、と言う幸せに溢れた輝いた表情だった..と。」
マレンはその話を聞いても、直ぐには何の感慨の感じ無かった。
ところが父であるファンが戦いで大敗した時、目の前で兄が父を逃がすために、犠牲となって亡くなった。
まだ15歳の自分に何が出来るか?
マレンは自分の身を敵兵の前に晒したのだった。
父が逃げるための時間を稼ごうと、わざと敵兵を嘲笑い、処女の身で20人以上から輪姦された。
父親の逃げた方向を聞こうとした敵兵に、
「たとえ胸を抉られても言わない!」
と挑発して、右胸を抉られ、膣やアナルにも棒や瓶などを押し込まれ、女として結婚をすることの出来ない身体になってしまったが、お陰で父は逃げることが出来、態勢を整えて反撃することが出来た。
そう話ながら、マレンは軍服の前ボタンを外した。
アンダーシャツの膨らみは、左側しか無かった。
「貴女の話を聞いていたお陰で、私は父の、いやお国のお役に立てました。」
話終わると、マレンはフィンフの手をぎゅっと握り、それから軍人らしくきびきびと敬礼をして去っていった。
はるは側で全てを聞いていた。
マレンの犠牲は美しいとは思ったし、自分達と似てるとも思った。
でも、自分が殿様に向けている愛とは、わずかに違うような気もした。
はるにとっては、お国のためとかはピンと来ないことだ。
あくまでも殿様のご意思しだい..。
そう思った。
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