佳苗の胎児は順調に成長し、臨月に入った。
今日は佳苗の乳備え始めの儀式がある。
乳備えとは、今風に言えば乳腺マッサージのことだ。
出産した赤子に、上手く乳を含ませられるように、乳房、乳首をマッサージしておくことは、昔から行われている。
ただ、佳苗が嫁いだ地域では、初めて乳腺マッサージを助産婦さんや経験者の女性から受ける時、腹帯を巻いた時と同じように、身近な親族や集落の人が集まる中で、見られながら行われると言う儀式があった。
佳苗の住む家では、三間続きの和室の襖を外し、広い部屋を作った。
ご近所から借りた物も含めて、いくつものストーブが焚かれ、部屋の中を暖かくしている。
そこに、ご近所から旦那さん、奥さんと合わせて20人近くが来てくれた。
正面の床の間に、洗面器や手拭い、タオルなどが置かれている。
奥の主賓席に座るのは、佳苗の胸をマッサージする60過ぎの助産婦さんだ。
最近は病院での出産が増えたが、それでも地区の妊婦さんからの相談を受けたりと、皆から信頼されている。
一堂が集まったところで、佳苗の義母の珠美が挨拶をした。
皆様方のおかげで、家の嫁も無事臨月となり、もうすぐ出産となります。
生まれてくる赤子を、健やかに育てる事が出来ますよう、これから乳備え始めを行います。
どうぞ嫁を見守ってください。
そう挨拶すると、息子の政雄と二人、頭を下げて礼をした。
それから、隣の部屋から佳苗の手を引いて連れてくる。
佳苗は上から白い肌襦袢を羽織っていた。
部屋に入ると畳に座り、主賓の助産婦さんに一礼し、続いて集まってくれた集落の皆にも一礼する。
珠美が佳苗を立たせた。
腰ひもを解いて、肌襦袢を脱がせる。
「おおっ!」
皆から感動したどよめきがあがった。
佳苗は腹に腹帯をしただけの裸体だ。
腹帯に守られている腹部は大きく膨らんで競りだし、中の胎児が順調に育っていることをうかがわせた。
その下に、真っ白な肌と対照的な、黒い繁みが見える。
新婚の時に夫から剃ってもらった陰毛だが、出産までは生やしてもらっていた。
生えている面積は、それほど広くはない。
普通の女性並よりやや小ぶりに、逆三角形に生えてるが、肌が白いだけに、その艶々した黒さが際立った。
その下に伸びる二本の足は、やや太めかもしれないが、腰と共に赤子のいる腹をしっかりと支えている安定感があった。
そして今日の儀式の対象である二つの乳。
佳苗はもともと小肥りで、大きな胸がコンプレックスだったが、結婚してからは、夫が自分の胸を弄ぶことで喜んでくれるのを知り、自分の胸の価値が分かってきた。
さらに、夫から胸に受ける愛撫も素晴らしいと思うようになった。
妊娠する前は、夫は大きな乳房をバスケットボールのように鷲掴みにしたものだった。
その痛みに呻き声が出そうになるのを耐えているうちに、乳房全体にじんじんする快感が広がり、さらに硬くなってしまった乳首を男の太い指で摘ままれ、きゅっと引っ張られるなど弄ばれ、ついに強く吸われ噛まれもしたが、その時はもう頭の中が真っ白になる程の快感を感じていた。
政雄もそんな妻の反応を見て、喜んだものだ。
今、佳苗の乳房は、その時よりさらに膨らんでいる。
先端の乳首は、もともと茶色だったのが、今は色素が濃くなり、さらにぷっくりと膨らんできた。
いかにも授乳されるための乳房乳首だと思えるようになってきている。
主賓の助産婦さんが席を立って、佳苗の乳房を素手で触った。
ずっしりと重量感があり、血流も良いように思えた。
「はり具合は良いようだね。」
それから、ぷっくりとなっている乳首をそっと触る。
乳うんの付近から乳首の先端まで、親指と人差し指、中指で、摘まんだりそっと押したりした。
「乳首は少し突起させた方が赤ちゃんが吸いやすかろう。」
と言う。
乳首はもともと陥没気味だった。
それが、妊娠前は夫である政雄から指で摘ままれ、時には洗濯ハサミを使うと言う責めをしてもらい、乳首は突起してたのだが、妊娠してからは胎児に気を使って乳首への愛撫を避けているうちに、いつの間にかまた陥没気味になったのだ。
「乳頭の汚れとりもした方がいいね。」
乳首に垢のようなものが溜まり、それが乳腺を詰まらせる原因になることあるのだ。
助産婦さんが一通り佳苗の胸を見た後、佳苗は襖を外した鴨居の下に立たされた。
鴨居から、先端が輪っかになった二本の紐が下がっていて、佳苗はそれに両方の手首を通し、低い万歳をするような格好になった。
助産婦さんがゴム手袋を嵌めると、珠美が熱いお湯で濡らしたタオルを渡した。
助産婦さんは佳苗に、
「さあ、奥さん。これから胸を揉むが、少し痛く感じるかもしれない。
でも、これも生まれてくる可愛い赤ちゃんの為だからね。」
と言い聞かせた。
佳苗が、
「お願いいたします。」
と答えると、助産婦さんは熱いタオルを佳苗の乳房に当てた。
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