美鈴と呼ばれた女の夫は、光雄にそれほど興味を持っているようには見えなかった。
「あんたは、この村の女を犯して恥をかかせたね。こうされるのは、仕方ないな。」
それだけ言うと、もう光雄から離れて妻の美鈴と話をしている。
「貴方..、今日も忙しいの..?」
「いや、今日は昨日みたいに遅くならないよ。
美鈴の料理が冷めないうちに帰れると思う。」
「そうなの、嬉しい!」
「お前も、こんな男の見張りとか、本当に大変だろうが、村の皆の為だ。
頼むよ。」
「まあっ、貴方ったら..、私なんかに、そんな..」
美鈴と言う30台半ばのこのドSの女は、とにかく男は嫌いだった。
男に対してのSも、男を快感と苦痛と屈辱で自分に従わせると言うSではない。
理由は無く、とにかく男を虐めて泣きわめかせたかった。
他所の地方の出身で、高校までは男子との交際を避けていた。
大学の時に東京に出てから、その目立つ特異な性癖のせいで、性に関するビジネスに深入りしてしまい、複雑なトラブルを抱え、足を抜けなくなった。
まともな就職も出来ず、トラブルを抱えているので故郷にも帰れず、周囲は敵ばかり。
もちろん男に頼るなど性格的に出来ない。
そんな状況の時に、夫と巡りあった。
美鈴にとって、夫となった男性は、美鈴にとって人間の男性では無かった。
神に近い存在であり、憧れだった。
ドSの美鈴を、愛らしい女の子のように扱い、余計な気を使う事もなく、美鈴は彼に本当の大人の男性としての魅力を感じた。
告白したのも美鈴だったが、古風にラブレターを何通も書き直し、直接手渡した時は、自分が気絶仕掛けてるのを感じた程だった。
そんな美鈴を夫は愛し受け入れ、結婚してくれた。
美鈴はそんな夫を通じて、夫が大切にする人、夫の友人、夫が生活するのに必要な人、と男性に対する嫌悪感を薄めていくことに成功した。
今もこの村で暮らすのに、大勢の男性と顔を合わせ話をしなければならないが、そのほとんどは夫の知人であり、夫を大切にしてくれる人達だと思うと、美鈴には苦痛ではなかった。
そんな美鈴だったから、婦人会の年配の人から、光雄の監禁と拷問を頼まれると、躊躇した。
夫に対し、昔の自分にとっての黒歴史を思い出させるのではないか?
それで、夫から私が嫌われたら..。
しかし、婦人会から言われた夫自身から、「美鈴、あの優しい旅館の米子おばさんに酷いことをした男らしい。
僕も他の事でこの事の始末をするように村の皆さんに言われている。
だから、君も村の皆の為に引き受けてくれないか。」
と言われて、俄然やる気になった。
その男を、ゆっくりと、じわじわと、惨めさと恐怖と苦痛を与えてやろう。
そう考えていた。
先程、光雄の言葉にカッとなって、尿道に箸を突き刺したが、あれは計画外だった。
全身の剃毛をして、首には重い鉄の首輪を嵌め、全裸のまま重労働をさせてやろう。
重労働している姿や、拷問されて泣きわめいている姿を、婦人会の奥さん達に晒してやろう。
美鈴はそう考えていた。
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