結婚してまだ1年経たないが、佳苗の嫁いだ家では田植えの時期となった。
初めての水田の作業も、夫が優しく分かりやすく教えてくれたし、義母も気を使ってくれたので辛いとは思わなかった。
同じ集落の人も手伝ってくれる。
夫の所有する水田は、コンバイン等が入る広く道に面したものが3ヶ所、その他に軽四トラックしか入れない細い谷川を遡る道を辿った所にある狭い棚田が3枚あった。
週末の土曜日に、夫婦と義母と集落の人の手伝いで広い水田の田植えは終わった。
その夜、寝床の中で抱かれながら、佳苗は夫からこの家の言い伝えを教えられた。
明日田植えする山の田んぼは、ここら全体の耕地を潤すあの谷川の神様に、豊穣を祈願して供える米を作る場所だ。
だからどんなに不便でも、耕作を続けなくてはいけない。
豊穣を祈願するのだから、苗は福よかな女が全裸で植えなくてはいけない。
お袋が歳を取ってからは、我が家にはそんな女性がいなかった。
お前が嫁いでくれて、やっとまたお祭りが出来る。
明日は早朝から、俺とお前と二人だけであの棚田に行く。
このことはお袋も知っているから、家のことは心配するな。
裸で苗を手で植えるのは、辛いかもしれないが耐えてくれ。
夫のチンポを膣に受け入れながら、佳苗は自分が全裸で黒い泥の中に入っていく光景を想像し、激しく反応して夫を喜ばせた。
翌朝、まだ薄暗いうちから、前日に準備していた苗や道具を軽四トラックに積み、夫の運転で谷川沿いの道を上がっていった。
朝食と昼の弁当は、義母が早くから用意してくれていた。
佳苗が礼を言うと
「佳苗さん、初めてだから戸惑ったりすると思うけど、息子を信じてくれたらちゃんと終わるからね。」
と、励ますように言って送り出してくれた。
集落から車で15分。
直線距離は近いが、狭い危険な山道をゆっくり上っていく。
運転している夫から、
「外で裸になるが、余所者が来るようなところじゃない。
集落の人も、このことは知ってるから、上がってくる者はいないはずだ。」
と告げられた。
ああ、私が裸で田植えすることは、集落の人は知ってるのね..。
佳苗の頬が羞恥に赤くなった。
「お前は神社の巫女さんみたいなものだ。
皆もお前のことをありがたいと思ってる。」
佳苗が嫁いで来た時、集落の皆はとても温かく親切に迎えてくれた。
あれは、そう言う意味もあったのだ。
いよいよ棚田に近づくと、夫は小さな水神さまの石の祠が建つ谷川の畔に車を停めた。
「さあ、ここで川に入って身を浄めるんだ。」
夫の言葉に、佳苗は着ていた作業服を自分で脱いだ。
作業用の手袋、袖覆い、ゴム長靴、作業用のシャツ、ズボン、靴下、綿のランニングと脱いでいったが、さすがにブラとショーツだけになると、決心が鈍った。
そろそろ辺りも明るくなっている。
家の中の明かりの下なら、これまで毎日のように夫に裸体を晒している。
でも、太陽の明かりの下で、私のような太った見苦しい身体を晒すなんて..。
佳苗の手が止まった。
夫が脱ぐように催促したが、やはり佳苗は首を横に振った。
「困った。お前、自分で脱げないのか?」
「ごめんなさい、私、やっぱり恥ずかしくて..脱げません..。」
「お前が自分で脱げないと、俺が脱がさなくちゃいけないんだが..」
佳苗は頭の中で、夫の手で..、仕方なく..、.と想像した。
それは、羞恥ではあるが、甘やかな気持ちを掻き立てた。
「あなたから、脱がされるなら...」
佳苗のマゾ性と羞恥が混ざった表情に、夫はゴクンと唾を呑み込んだ。
夫は直ぐに佳苗のブラジャーの肩紐に手を描けようとしたが急に、はっ!と何か大切なものを思い出したようだった。
「佳苗。お前もう、自分で脱げないって、言っちゃったんだよな..。」
夫が改めて困った表情になったので、佳苗は心配になった。
「そうですけど..、それが何か困ったことになるんでしょうか..?」
夫はこうなったらもう仕方ないから、と前置きして説明した。
この祠の前からは、田植えをする女は神聖なものとなるが、自分で一度脱がないと言ってしまった衣服は俗塵にまみれた不浄のものとなる。
女が思い直して脱ごうとしても、その衣服に手を触れればその不浄が女の手から身体全体に移る。
それと、この行事をする女は、田植えが終わって田んぼから出るまでは、たとえ夫でも父親でも、その神聖な女の肌に手を触れられない。
今も、夫が佳苗の下着を脱がすのに、佳苗の肌に触れることはいけないのだ。
「ごめんなさい!私が、私が恥ずかしいなんて言ったから..。」
佳苗が泣き掛けた時、夫が真面目な表情で聞いた。
「お前、今着てる下着、鎌で切っても良いか?」
えっ?どういう事ですか?
理解出来ない佳苗に、夫は説明してくれた。
ブラジャー、ショーツと肌の間に、鎌の刃を差し込んで、手を触れずに切り裂いて脱がせる。
と言うのだった。
「でも..、それでは帰りが..」
帰りにノーパンノーブラとなることを心配する佳苗に、夫は
「すまん!」
と謝ると、本当のことを話した。
田植えを終えた女は、再びこの谷川で泥を落とし、その後は全裸のまま集落に帰る。
昔は歩いて帰ったが、今は軽四トラックの荷台に座って帰ることになっている。
それを集落の人が神様として出迎え、夫の家の庭に祀っている祠の前の莚に座って、祝詞があげられたら、神様は祠に入ったことになり、女は人間に戻る。
そう言う段取りとなっていたのだ。
話を聞いて、佳苗は確かにショックを受けた。
全裸を集落の人、皆に晒さなくてはならないのだ。
実家にいた時なら、とても信じられなかっただろう。
しかし今の佳苗は、夫から抱かれ、夫を愛し、夫に尽くす喜びを知ってしまった。
ここで私が逃げたら、夫と優しい義母の顔がつぶれてしまう。
わずかな沈黙の後、佳苗は夫に言った。
「鎌でブラジャーとショーツを切って下さい。」
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