私は只々呆然とした。
ドアを開ければ、目くるめく世界が広がっていると信じていた。
しかし、ジャングルを意識したであろう大浴場には、"宴"の気配など微塵もない。
メインの岩風呂に佇む中年のハゲオヤジが、こちらを一瞥するだけだった。
虚無の極みに達した私はトボトボと大浴場内を歩き、シャワーを浴び始めた。
くすんだ鏡に自分の顔が写る。
諦めを捨てきれない釣り目が何とも間抜けだ。
(まぁ、平日だしな。気長に行こう)
そう思った矢先、何かが動く音がした。
まさかと思い、大浴場と女性用脱衣所をつなげるドアの方向を見ると、
そこには女が立っていた。しかも若い女だ。
通常、百穴温泉に来る人間はこのサイトを嗜むような(嫌味ではない)
中年のカップルがほとんだ。しかし、この女はたった一人で現れた。
身長はあって150cm代後半、細すぎず、太すぎずの健康的な体形で、
着飾っていない分、バスタオル越しでも豊かな胸が目立つ。
おそらく女湯でシャワーを浴びてきたのだろう。
白い肌は水を弾き、濡れたストレートミディアムの黒髪が良く映えている。
ピンと伸びた背筋は、女の育ちの良さが垣間見えると同時に、
女に霧を晴らすような清廉さを与えている。
一方で顔立ちは、艶やかさと幼さが両立した絶妙な顔立ちで、
親しみやすい小さな口と鼻に対し、大きい二重の垂れ目が妙に色っぽい。
表情を見るに、女はどうにも緊張しているようで、
入り口で我々に小さく会釈をすると、静かに岩湯に浸かった。
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