森の情けにも関わらず、ゆうかの股間に食い込むゴム紐は、ゆうかの周りに芳しい牝の香りを撒き散らした。
駅から乗ったバスの社内では、近くの席に座った熟年の女性から、「あれ?」と言う顔をされた。
最後のバス停の近くから乗ったタクシーの運転手は女性だったが、運転中も時々ルームミラーで後ろのゆうかの様子を伺っているようだった。
タクシーの後部座席への腰を屈めた乗り降りで、ゴム紐は極端なまでにゆうかの割れ目に食い込んだ。
三角木馬の硬質な食い込みとはまた違う、奥の奥まで入っていくような食い込み。
いよいよ実家の階段下でタクシーから降りたゆうかは、顔を赤く上気させ、息も荒くなっていた。
見方によっては、結婚する相手を両親に紹介すると言う重大な事態を前に、若い女性に有りがちな興奮にも見える。
しかし、その道では若い二人より経験の長い茂雄、真弓の二人は、石段の上から一目見て、娘の態度が責められている女のものであることを見破っていた。
森はゆうかを、緩やかな坂道の方へ誘おうとしたが、ゆうかは敢えて両親が上から見守っている石段を上ろうとした。
ふらつきそうになる足を、ゆっくり一歩づつ上げていく。
ますます息は荒くなり、途中で立ち止まった時は、後ろに倒れるかの様に見え、森はゆうかの腰を片手で支えてあげた。
小さな子供の頃に、この石段を急いで駆け登り、「お父さんに勝った!」と喜んでいたあのゆうかが、今は一人前に男から愛され、こうして責められながら同じ石段を上っている。
両親の感慨は深かった。
やっと上までたどり着いたゆうかは、息を整えてゆっくり両親に頭を下げて言った。
「お父さん、お母さん、ただいま帰りました。」
そして頭をあげると、後ろに控えていた森の方を向き、
「この人が森さんです。」
と紹介した。
森は、その場で
「森です。
お嬢さんをいただきに上がりました。」
はっきりと用件を口に出した。
多分それを聞いたら私泣き出すだろう、と言うゆうかの予想は当たった。
ゆうかは両手で顔を隠すと、その場にしゃがみこんでしまった。
あわてて助けて起こそうとする真弓を制して、茂雄は落ち着いた声で答えた。
「私達がゆうかの両親です。
よくお出でになられた。」
たったそれだけの会話と動作と表情で、茂雄と森は、お互いが同じ志向の仲間であることを感じ合った。
「さあ、中へお入りください。
ゆうか、大丈夫か?」
茂雄の声に、森は真弓の代わりに自分がゆうかに肩を貸して、家の中へ入った。
通された客間の応接台の前に座る時の動作で、またゆうかは激しい刺激を股間に感じた。
その刺激と共に、そんな状態で両親に顔を会わせる羞恥で、ゆうかは気が遠くなりそうだった。
普通に挨拶が終わり、茂雄は森に足を崩す様に言うと、自分も上着を脱ぎ、胡座をかいた。
森も遠慮することなく、胡座をかいた。
森の脱いだスーツの上着を真弓が後ろから取って掛けようとするのを茂雄は
「それはもう、ゆうかにさせなさい。」
と言って止めた。
ゆうかは、森の上着を持つと、ゆっくりと立ち上がり、それを鴨居に下げられたハンガーに掛けようとした。
その動作が、ゆうかの張りつめた心と身体を限界に達しさせた。
痛みではなかった。
むしろ激しい快感であり、絶頂を感じ逝ってしまったかの様だった。
床に崩れ落ちたゆうかを森が抱き上げると、真弓がもともとゆうかの子供部屋だった部屋に案内した。
真弓の言うとおり、ゆうかをベルトに寝かせると、森は再び茂雄の待つ応接間に戻った。
ベルトに寝かされたゆうかの顔を、真弓は優しく冷たい濡れタオルで拭いてあげた。
ゆうかが、恥ずかしい気に
「ごめんなさい、お母さん。
私..、」
と股間の秘密を言いかけると、真弓はそっとゆうかの唇に指を当て、
「いいのよ、お母さん分かってるわ。」
と言った。
ゆうかが小さく
「何故..?」
と言うと、
「だって、ゆうちゃんったら、愛されてる女の人の顔になってたから!」
と微笑みながら答えた。
ゆうかが恥ずかしい気に微笑み返すと
「森さん、素敵な人ね。」
と言ってくれたが、直ぐ、
「あのショーを見てくれたの、ゆうちゃん達でしょう?」
と自分の方からゆうかに打ち明け始めたのだった。
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