ゆうかは、週末は殆ど森のマンションで過ごすようになった。
「コーヒーはいりましたわ。」
そう言って、論文を作成している森のデスクにそっと入れたてのコーヒーを置く。
落ち着いて優しくて、普通の愛し合うカップルの生活と殆ど変わらない。
「論文、かなり進みましたね。」
「ああ、後は校正くらいだね。
君が入れてくれる美味しいコーヒーのおかげでもあるよ。」
会話もごく当たり前で、相手への愛情をこめた優しいものだ。
ただ、この会話をする森は落ち着いた部屋着を着ているが、横に立つゆうかは、おへそまで隠れそうな大判ショーツ、若い人からは「おばちゃんパンツ」とも呼ばれる白い下着一枚しか身につけていなかった。
あまり大きくはないが、つつましやかな形で、中心に桜色の乳首を着けた胸も、真っ白な太股も隠すものはない。
若い女の子なのにダサい筈だ。
しかし、森はそれが美しく思えたし、ゆうかも
「私、ご主人様のお好きな姿をしてるんだわ」
と嬉しく思うと共に、その大きなショーツを穿くことに、何となく安心感があった。
反面、いまににそれを脱がされることは、思春期の少女のように激しい羞恥を感じる。
コーヒーを飲み終えた森は、デスクから立ち上がり、ゆうかをリビングのソファーに導いた。
並んで座ると、森はゆうかにタブレットの画像を見せた。
そこには、金髪の二人の女性が、全裸で首輪をされ、鎖で繋がれている画像が写った。
二人とも嫌がったりしてはいない。
自分達のされていることを、SMとして受け入れている顔だった。
ただその二人の顔が、あまりに似ていた。
年齢的に、双子や姉妹ではない。
母と娘のようだ。
「アメリカ、カリフォルニア州。
母、45歳。娘、21歳。
2年前から飼育。」
英語のテロップを森が日本語で読み上げる。
画面には次次と、林の中で木に並べて縛られたアングロサクソン系の母娘、肌も髪も色素がとても薄い北方系の母娘、と責めを受けている母娘の姿が写し出された。
まだ後ろ手に手錠を嵌められ、それぞれ壁に鎖で繋がれている母親らしい女性と、まだ幼いと言ってよい程の少女が、必死に顔を近づけてキスしている画像は、ゆうかの胸を熱く打った。
「ドイツ、ハンブルグ。
母、36歳。娘、13歳。
1年前、競売で購入。
購入時、娘は処女。」
日本にもそんな虐待はあるかもしれない。
でも、こんなきれいで可愛い女の子が...。
SMも色々な形があるんだ...。
ゆうかは恐い画像を見ることで、ドキドキすると共に、今の自分の森の奴隷という立場が、ますますありがたく思えた。
でも、何故ご主人様はこんな画像をわたしに見せるのだろう。
親子丼。
下品な言葉ではあるが、それをしたいと思っている男性は多いようだ。
ご主人様も、私と母とを責めたいのだろうか..。
でも、母には父がいる。
そう思っていたゆうかの気持ちを見透かしたかのように、森は
「二人の女性を一緒に責めるのは、殆どが一人の飼い主が二人の女性を支配してる場合だね。」
と言った。
「しかし、違うケースも結構ある。
これは母娘ではないが、ちょっと見てごらん。」
森が写し出した画像は、それまでの外国の鮮やかなものとは違い、白黒で画質の悪いものだった。
あまりスタイルが良いとは言えない日本人と思われる女性二人の全裸。
二人とも鴨居に両手を吊られるように縛られ、恥ずかしいのだろう、顔を伏せている。
必死に片足を曲げて陰部を隠そうとしているようだ。
その足は短いし、お腹がぽっこり出て、髪もかなり昔に流行ったアップにしていて、今の目から見るととてもダサかった。
「右、幸崎幸子、36歳。主婦、2児の母。
左、松岡直子、35歳。主婦、1児の母。
1968年、日本。」
そんな昔の画像をなぜ?
同じ二人が、他の場所で写されてる画像が出た。
一人は既に縛り上げられて畳の床に座らせられ、もう一人が今男性に縛られている。
と、言うことは、この写真を写した人がもう一人いたはずでは?
「夫婦交際だよ。」
森が説明してくれた。
SM愛好家の二組の夫婦で、それぞれ夫が奥さんを縛り、それをもう片方が鑑賞する。
更には、二人の奥さんを並べて鑑賞しながら、夫同士は酒を飲む。
夫婦交換やパーティーと違うのは、あくまで奥さんを責めるのは夫で、もう片方の夫は、せいぜい軽くそれに手を貸す程度。
相手を交換してのセックスや責めはない。
そのようなルールだったらしい。
「これを、君のご両親とやりたいんだ。」
森は子供のように目をキラキラさせて言った。
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