頬を叩かれて意識が戻る。
『ご主人様に抱かれたくなかったんだな?』
『違います!そんなんじゃ…』
たかしさんに抱かれたい…
『口答えするのか!?』
『違います!抱かれたいんです!たかしさんに抱かれたいんです!でもたかしさんにいっぱいされて!気持ち良くなって!今までで一番気持ち良くて!もっともっとって思ったけど、イッたら抱いてもらえなくて、でもたかしさん好きだからいっぱいして欲しくて、何が何だかわかりません!今なに言ってるのかもわかりません!でも抱いて欲しいのは本当です!』
支離滅裂だ。
『……どうします?ご主人様。』
お願いしますたかしさん……もうアタシを見捨てないで…
『明日の仕事は何時?』
『13時に新宿のスタジオ入りで、17時上がり予定です。』
『じゃあ11時起きで充分間に合うね。じゃあ今使った道具を洗って他の道具と一緒に片付けて。俺風呂入ってくるから。片付け終わったら風呂に入りなよ。』
あぁ……今日は抱いてもらえないんですね…
使ったおもちゃを洗い、使っていないおもちゃも棚に並べてお風呂へ向かう。
全裸だったが仕方がない。
脱衣場に入るとまだたかしさんが入っていた。
『一緒に入っていいですか?』
『あぁ、どうぞ。』
恥ずかしくて手で隠しながら入る。
シャワーで洗っているとたかしさんの視線が気になる。
やっぱり恥ずかしい。
でももっと一緒に居たいけど…アタシはあの女性に言われたとおり……
『お先に上がります。』
『えっ?湯船に入らないの?』
アタシは…奴隷…
『ご主人様と同じ事は出来ません。奴隷……ですから……』
『じゃあ命令。一緒に入れ。』
何でそんなに優しくてくれるの…
『……ありがとうございます…』
涙は洗い場に落ちました。
アタシはたかしさんの邪魔にならないよう隅っこに座ります。
『どうしたの?そんなに小さく座らなくても、手足を伸ばして入れば良いのに。』
アタシもたかしさんにくっついて手足を伸ばして座りたい。でも…
『……ご主人様に悪いので…』
『じゃあ隣に来てくっついて座って。』
『良いのですか?アタシなんかが…』
『来い。』
『はい!』
たかしさんに肩を抱き締められる。
アタシは我儘な人間だ。もう一つだけ願いを叶えて欲しい…
『……今だけ……たかしさんって呼んでも良いですか?』
『…駄目だ。』
欲張ったら駄目だ……当然だ…アタシは奴隷…
『すみませんでした。』
『これから2人共裸の時と一緒に外出している時は名前で呼べ。』
嬉しい…もう我儘が止まらない…
『……もう一つ我儘言わせてください。肩を貸してください……』
黙ってアタシの顔を肩に持っていく…
アタシは声を堪えて泣いていた。
たかしさんも泣いてしまっていた。
お湯の温度に負けないくらい暖かい物が胸に込み上げてきた。
いつまでもこうしていられる。
たかしさんとなら。
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