家の玄関を開ける。
いつもの家。半年前までは麻衣子も何度も訪れていた家。
リビングに入り麻衣子が上がって来ないことに気付く。
『どうしたの?』
『ううん何でもない。今日はちょっと帰るね。疲れてるみたいだから……。たかしさんもゆっくり休んで。』
『…うんわかった。ハイヤー呼ぼうか?』
『…歩いて帰る…夜風に当たりたいから』
『じゃあ気を付けて』
『おやすみなさい』
『おやすみ』
私の心は決まった。揺るがない気持ちが有ったからこの日からグッスリ眠れる様になった。
翌日、探偵事務所から電話があり○○市内の××というところまで来てください、とのこと。
電車を乗り継ぎ目的地に着いたのは昼過ぎだった。
『こんにちわ。たかしです。』
『すみません遠いところまでご足労いただいて。』
『とんでもない。まず最初に謝っておきます。DVDをお渡しする前に当事務所で中身を確認させていただきました。
そのため麻衣子さんのアラレもない姿を見てしまった事をお詫びします。』
『いえ、仕方の無いことだったと思います。』
『そしてDVDを見たからわかったことですが、山田、あっすみません。浮気相手の名前なんですが、山田と言いまして40歳の大工です。ソイツ女癖が最悪でしてあの辺じゃ有名なんです。麻衣子さんの他にも手を出していたんですが、ちょっとヤバイ女にも手を出そうとしてたんです。
だからそっちの処理はそちらの方にお任せする方が、たかしさんにとっても良いかと思います。』
『わかりました』
『あとこちらが山田が持っていた映像の全てと、別の携帯に全てのデータを移した携帯です。』
『ありがとうございます』
『ではこれで依頼は全てでよろしいですね?』
『はい。あっ!麻衣子とした奴達全員調べることは可能でしょうか?』
『山田に聞けばほぼわかるかもしれませんが、全員となると…』
『そうですね、結構です。では失礼します。』
『私はこれから山田の件でもう少し奥まで行きますから、たかしさんの気持ちの整理がついたらまた後日でも構いませんのでご連絡いただけたらお力になれるかと。』
『ありがとうございます。』
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