寧子とSAの缶コーヒーを飲みながら今日の経緯を話す
麻衣子やお金のことは言わない
『えー、何それー!大学生が学校も行かず所持金530円で旅行なんて舐めてんの?
ガソリンは満タン?ETCは付いてる?じゃあたしに着いてきて!』
寧子に先導され高速道路を走り新静岡ICで降りる
下道を走り食堂で停まる
『さあ降りて!昼飯ぐらい奢ってやるから!』
『いや悪いですよ』
『遠慮するな!安い店だから(笑)』
2人で食堂に入る
『いらっしゃい…おぅ寧子ちゃん久しぶり!いつものレバニラ定食で良いかい?
あれ?後ろの彼氏かい?初めて彼氏見たよ!彼氏もレバニラ?それともこれからのためにスタミナ定食にするか?(笑)』
『バーカ!オッちゃんそんなんじゃねーよ!東京で所持金530円で旅行行こうとしてるバカに、格安旅の第一弾として静岡まで招待してやったの!
それよりオッちゃんコイツ昼飯代の分働かせてやってよ!あたしも手伝うからさぁ?』
『じゃ兄ちゃんは皿洗うくらい出来るだろ?寧子ちゃんは接客と厨房の手伝いね!さあさあサッサと動く!』
何も喋らせてもらう間もなく手伝わされる
不思議な物でこんなどこにでもあるような普通の食堂だが、昼飯時だからか客が絶えない
最後の客が出て落ち着いたのは午後2時を過ぎていた
『お疲れ!ほら賄いだ!』
『オッちゃんありがとう!レバニラ取っておいてくれたんだ!ほらお前も食え!』
『…いただきます………うまっ!俺今までレバー苦手だったけどこれうまっ!』
嬉しそうに見る寧子
腹一杯になり店を後にする
『じゃ着いてきて』
少し走り寧子が買い物をするドラックストアで待たされる
『着いたよ!バイクこっちのガレージに入れて』
郊外の一軒家
それほど高くはないだろうが家族と同居か?
何故俺を連れてきた?
『あのーもしかして今日ここに泊まる?』
『そうだよ?530円じゃどこにも泊まれないだろ?しばらくここに泊まっても良いから、バイト探してお金出来たらまた旅行続ければ良いだろ?』
あれ?俺何か勘違いさせるようなこと言ったっけ?
俺ってそんなに貧乏人に見えるかな?
家に入ると先に風呂に入る寧子
まぁ別に良いか
あっ!すぐそこにコンビニあったな
酒でも買ってくるか
脱衣所の外から声をかける
『ちょっとお酒でも買ってきます!』
『冷蔵庫にビール、横のワインセラーに赤と白、食器棚の横に日本酒とウイスキー、床の下に梅酒、まだ何か足りない?』
『……いえ……充分です』
何でここまで用意周到なんだ?もうこの家から出さないつもりなのか?
もしかして俺のこと知ってて金目当て?
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