麻衣子は半信半疑のままスタジオを後にする。
玄関を出てみるがたかしさんの姿は無い。
『やっぱりからかわれたか…』
『麻衣子様。お待たせしました。どうぞこちらへ。』
『えっ?どちら様ですか?』
『たかし様からお迎えに上がる様申し承っております。』
『え~!』
黒塗りの車は静かに揺れる事なく走っている。
麻衣子は夢を見ている様だと思っていた。どこを走っているのかもわからない。本当にここが東京なのかと思うくらい静かに走っている。こんな車があるという事を初めて知った。
車が止まった場所は小ぢんまりとした居酒屋だった。
『いらっしゃい。ん?麻衣子さんかい?』
『はい。』
『あっ!こっちこっち』
たかしさんが手を振っている。
『ビックリした~。あんなスゴイ車で迎えに来るから。』
『ゴメン、言ってなかったよね。それにこんな居酒屋着いたらギャップが凄かった?』
『こらたかし!こんな居酒屋とはなんだ!てめー今日は料金二割り増しだ!』
『そりゃ無いよ店長~』
『フフフッ』
『その笑顔良いよね~』
『…恥ずかしいです』
居酒屋で麻衣子はよく笑った。
色々話も弾んだ。今までの事。仕事の事。これからの事。
居酒屋を出てもう少し飲みたいからと家飲みに誘うとOKとのこと。
私はこの子となら…と思い始めていた。
家に着きリビングで酒とツマミを広げる。
お互い酒が進み異性関係の話に。
麻衣子は最初私のことを聞きたがったが、当然ながら私は童貞だ。
知られたく無い一心で麻衣子に話を振るがのらりくらりと話をかわす。
もしかして?と思い私から
『俺童貞です。付き合った人はいるけどセックスはしたことがない。』
『…アタシも…経験した事ないの。』
『こんな俺たちが出会ったのは運命だよ!結婚を前提に付き合ってください!』
『はい!』
その日、2人で初めての経験をした。
1分も経たない時間だったが幸せだった。2人朝まで寝ずにやり続けた。それでも挿入時間合計は10分も無かっただろう。
それからの私は失って来た時を取り戻すかの様にやりまくった。
麻衣子もそれに応えてくれていた。
半年が過ぎる頃、麻衣子に拒否されることがあった。
理由として疲れてる、そんな気持ちじゃない、気分が乗らない。
会う回数も少なくなり流石におかしいと思い、探偵を雇った。
優秀な探偵だ。金に糸目はつけないと言ったら麻衣子の痴態の全てを録音してくれた。
※元投稿はこちら >>