「実は私、このトシで処女なんです」
「え?」
「学生の頃に、何度かチャンスはあったんですが、怖くて、どうしても出来なくて」
一度、緩んでしまった心の扉から秘密にしていた事実が溢れだした。
「じゃあ、輪姦されたり、不倫相手に調教されてたって言うのも?」
「はい、全部ウソです。」
「…」
沈黙が流れた。
「本当は私、高校の教師じゃなくて、小学校の教諭をしていて、教え子と関係した事も無いんです」
あまりにデタラメを並べていた事に、自己嫌悪していた。
「本当にごめんなさい」
と言うと、
「SMに興味があるって話も?」
「それは本当です!もう、信じて貰えないかも知れないけど、課題も最後まで出来たし、命令されたらきっと、何でも出きると思います」
もう、信じては貰えないと思った。
さんざん見栄を張ってしまった自分のせいだと思った。
でも、言わなければいけない事は伝えた。
フラれる覚悟も出来た。
ただ、心の中では「嫌われたくない」という勝手な気持ちもあった。
「あのさぁ、俺、フラれるかと思って、緊張したよ」(笑)
と、彼の優しい声が聞こえた。
「実は、俺も冷やかされてるんじゃないかと、ヒヤヒヤしてたんだ」
と、彼は安堵した声で言った。
「最初は、あまりに従順だから、ネカマかと思ったし、ツツモタセ(美人局)だったら怖いなぁってね?(笑)」
(電話して良かった)
と思った。
「他に隠し事はあるの?」
「いいえ、これで全部です」
「まぁ、気にしなくて良いよ」
「じゃあ、許して貰えますか?」
「まぁね、俺って嘘つきが大好物だから(笑)」
(良かった)
と思った。
このトシで失恋するのは、ダメージも大きい。
互いに、プライベートの話をしてから、
「いつか会おうよ」
と言われた。
「はい、楽しみにしてますね」
と即答した。
電話を切って、暫く放心状態でいたら、彼からメールが来た。
「声もカワイイよ」
たった一言の誉め言葉なのに、私は彼の魅力の虜になっていった。
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