その後、ネットにスレを立てるようになった私は、色んな人達からリクエストされた命令を実行した。
中には、とても出来ない事もあって、課題が実行できない時は、「お仕置き」を自ら懇願した。
せっかくのご命令を実行出来ない自分が恥ずかしくて、猛省するように自虐した。
そんな時に、私が心惹かれた殿方が現れた。
彼の命令だけは、必ず実行できたし、私も自称独身の彼に、興味があった。
彼が公開していたアドレスに、勇気を出してメールした。
「はじめまして、エツコです。」
と、綴り始めたメールに、
「本物?」
と返信が来た。
(疑ってる?)
と思って、未公開の写メも送ったら、
「本物だ!こちらこそ、はじめまして、ゼロです」
と返事が来た。
ハンネで呼び合いながらの世間話が始まり、生い立ちや仕事の話もするようになり、セックスの話もするようになった。
彼は経験も豊富で、色んな体験談を話してくれた。
私も彼に話を合わせて、妄想していた作り話を彼に話した。
臆病な私には、男性経験が無くて、25歳なのに処女だったから、恥ずかしくて本当の事が言えなかった。
いつしか芽生えていた彼への恋心は、学生の頃に味わって以来の事で、偽りの自分を話す度に胸が苦しかった。
「何か悩んでる?」
と彼が聞いてきた。
ドキッとした。
毎日、普通に交わしていた文章が打てなくなった。
翌日、彼から
「ごめん、話したくなければ、無理に答えなくて良いよ」
とメールが来た。
「ごめんなさい。私、嘘をついてました。本当の事をお話しますから、許して貰えるなら、電話して下さい」
と電話番号をメールに綴った。
(捨てられるかも知れない)
と思うと怖くて、スマホを握る手に汗が滲んだ。
待ってる時間が長く感じた。
(もう、メールでも構わないから、返事を下さい)
と、あきらめにも似た気持ちで、神経を尖らせていた。
スマホが鳴った。
いつもより大きな音に聞こえて、ワンコールで出てしまった。
「エツコさん?」
「はい、悦子です。お電話ありがとうございます」
彼の優しい声に反応した私は、更に緊張して、声が裏返っていた。
(言わなきゃ、本当の事を話したら、もしかしたら許してくれるかも知れないし)
と勝手な事を想像していたが、
「あの、」
の後が続かない。
「もしかして、緊張してるでしょ?」
と言って、
「実は僕も緊張してるんだよ」
と囁くような声で話してくれた。
一気に気持ちが緩んだ。
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