次の日の夕方、登志子は夫と一緒に引っ越し挨拶に回った。
『昨日、102号室に引っ越してきた○○です。宜しくお願いします!』
幸いすべての部屋が在宅で一度で挨拶が終わった。
『ご丁寧に…ありがとうございます。こちらこそ宜しくお願いしますね。』
『あなた、みなさん普通の感じでホッとしたわ』
登志子はそう言ったが、私は…すべての部屋の奥さんが、同じ首輪をしているのを見逃がさなかった。
そういえば…あの首輪…見たことがある。
昨日、引っ越してきた時、玄関に置いてあったやつだ!
その時は、前の住人が犬でも飼っていて、忘れて行ったのかな…とか思ったけど、この部屋で飼えるわけもないし…
私は下駄箱に入れた首輪を、もう一度よく見てみた。
小さなメモが付いている…『102号室メス犬調教用』と書いてある。
『あなた…それって…』いつの間にか登志子がそばにいた。
『あぁ…どうやら、お前に使ってもらわなきゃいけないようだ。
さっき挨拶に回った時、すべての部屋の奥さんが同じ首輪をしていたからな…』
『あなたも気付いていたのね…私も気付いてたわ。私も…いいよ。』
『いい?って?』
『私もその首輪を付けて生活したい…』登志子の目は真剣だ。
『わかった、嫌になったら外せばいいし…』私は登志子の首に首輪を取り付けた。
使い古した首輪の穴の位置が同じだ。前の奥さんも登志子と同じような体型だったんだな。
『私…外さないわ。メス犬になります』首輪を取り付けた登志子は覚悟を決めたようだ。
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