悦子は…日頃、だれにも、どこにもぶつけられない不安や哀しみ、苦しみを住職に吐露した。
住職は、穏やかな笑みを浮かべたまま、静かに悦子の心の声を聞き取っていた。
そんな住職に…悦子は心が解き放たれてゆく安らぎに満たされていた。
『あらいやだ、もうこんな時間…私ったら一方的に話してしまって…』
『それでよいのですよ。ここはそういう所です。
私は悦子さんのお話を聞きながら、心の声を聞いていました。
悦子さんはまだ、私に話してないことがありますよね。』
『えっ!?いえ…もう、なにもないです』悦子は顔が熱くなっていた。
『そうでしょうか?
私はあなたに、心の中に秘めているものを、すべて、さらけ出してください、と言いましたよね。』
『はい、でも…』悦子の心の中には、まだ秘められているものがあった。
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