「わかりました…では、一緒に彼女が来るのを待ちましょうか…そろそろ、彼女も来ますので…」
佐々岡は美佐子の返事を冷静に返すと、銀縁の眼鏡のの向こうから美佐子をチラリと見る…その眼光は美佐子の全身を品定めするような感じで美佐子は心の奥でザワつく気持ちを感じて…
「先生…もし、うちの大志が非常勤講師の方と関係があれば…うちの大志は、どうなるのでしょう?そんな事あるはずがないですが……」
美佐子はまさかと思いながらも、下着の事も気になって佐々岡に聞いてみたくなり…
「お母さん…そのような事があれば、大志君もこの学校を退学して貰わなくてはいけません……実はこの事も校長から、私に一任されてまして…事実関係を確認すれば、そのように対処して欲しいと…誠に残念ですが…」
佐々岡の言葉に突きつけられた…「退学」という言葉に、厳しい現実を感じる美佐子は受験を控えた大志の事を考えると瞳を潤ませて…
「先生っ…そんな!退学だなんて!困ります!」
「まぁまぁ…そんな事があった場合ですよ。大志君がそんな事あるはず無いじゃないですか。とりあえず、事実を突き止めましょう」
そう言うと佐々岡は時計を見て…
「そろそろですね…約束の時間です」
そう言うと突然、会議室の扉を叩く音が…
「コンコン……ガチャっ……失礼します。佐々岡先生、お待たせしました…」
突然、入って来た女性は美佐子が想像していた感じとは、違っていた…美佐子は、20代くらいの若い先生を想像していたが、現れたのは美佐子より少し若いくらいに見えて…30代前半くらいに見えた。そして…その女性は美佐子を見ると…
「佐々岡先生…こちらは?」
「あぁ…佐藤先生、こちらは前園大志君のお母さんですよ。佐藤先生も知ってるでしょう?前園君…」
佐々岡が美佐子を紹介すると、美佐子は…
「前園大志の母です…よろしくお願いします…」
美佐子は冷静を保つように言葉少なめに挨拶をすると、佐藤は一瞬、戸惑いを見せたが、直ぐに…
「はじめまして、この学校の英会話の非常勤講師をしてます。佐藤理恵子です。大志君のお母様でしたか…こちらこそ、よろしくお願いします。」
「では…お2人、そちらに座って…お話聞かせて貰います」
佐々岡は2人が挨拶を終えると長ソファーに2人を座らせて…
「さて……佐藤先生、今日、来て頂いたのは、こちらの前園大志君とのお話なんですが…この前、他の生徒の噂話を聞きまして…率直に言いますと、佐藤先生、前園君とお付き合いをしてるんでしょうか?」
佐藤は、その話を聞くと…一瞬、顔を強ばらせると俯き……少し時間を置いて……
「佐々岡先生……それは……前園君のお母様の前ですので、上手く伝えられないのですが……あのぅ……それは、事実です。というか……言い訳するようですが…この関係を止めたいと思ってます。最初は彼の勢いの負けたので…そのような関係になってのですが…」
美佐子は、佐藤の言葉に一気に目の前が真っ暗になった気持ちだった。そして…佐藤の言い訳の言葉に…
「うちの大志が…佐藤先生に迫ったのですか!?そんな事あるはずが…そんなの嘘です!」
美佐子が口火を切ったように大志を庇う言葉を綴ると佐々岡は…
「まぁまぁ…お母さん、落ち着いて…感情的にならず冷静に話しましょう…大志君を良い方向に向くように、私達で考えましょう…」
佐々岡がそう言うと、美佐子は佐藤を見ながら沈黙して…
~続く~
※元投稿はこちら >>