あれは20年前...
恵美が27歳の時のこと。
当時の恵美は結婚したばかりで幸せイッパイの暮らしをしていた。
夫は名門私立中学の教師をしており高給取りではないが安定した暮らしだった。
夫は真面目で優しい人で恵美の理想の相手。
そんな夫は修学旅行の引率で海外に8日間、家を開けるのだった。
恵美: 準備は?大丈夫?
夫: 大丈夫だよ!大変な8日間になるなぁ...
恵美: そうだよねぇ...大変だろうなぁ...
夫: どうせ海外行くなら恵美と行きたいよ!
恵美: ンフ!行けるといいね!
夫: 行けるさ!
他愛のない話しをして夫を送り出した。
恵美は結婚を機に幼稚園の仕事を辞めて専業主婦をしていた。
夫を送り出してから数時間が経った。
ピンポーン
インターフォンから声が!
インターフォン: あぁ!恵美ちゃん!私だ!
恵美: え?おっお義父さん?!
驚いた!普段から連絡を多くは取ることのない義父であった。
玄関を急いで開けた!
義父: 近くに来たからね!寄ったんだ!
恵美: そっそうだったんですか...どうぞ...
仕方なく中に招いた。
恵美はこの義父が苦手だった。
夫いわく
夫: オヤジは堅物でダメなんだよ!昔、自衛隊の幕僚なんてやってたからさー!70近いのにバリバリ元気だろぉ!もう相手すんの疲れちゃうんだよぉ~
などと愚痴を聞いていた。
確かに義父は背も大きく背筋も真っ直ぐで老人という雰囲気ではなかった。
当時の自衛隊のトップにまでなったプライドは他人を見下すには充分で
特に年金や投資などを合わせた収入額は月に70万程度だと夫に聞かされていた。
実際にこの家の土地も義父の所有地だった。
そんなこともあり夫も恵美も義父には頭が上がらないのである。
ちなみに義母は結婚前に他界していた。
恵美: おっお義父さん...珍しいですね?
義父: んん...近くに同級生の墓があってね。
恵美: あぁお墓参りですか!
義父: そう。
恵美: お茶!お出ししますね。
義父のオーラに恵美は萎縮していた。
恵美: どうぞ...
義父: ありがとう、どうなの暮らしは?慣れたかい?
恵美: はい...結構慣れました。
義父: そうか...ならよかったね。
恵美: ...
元々無口な義父で共通の話題もない為、会話が弾むはずがなかった。
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