約一時間後、鏡子と翼は二人とも香奈子に連れられて家を出された。
家を出る前、鏡子は香奈子に頼み込み、最後の情けとして母親らしく翼に暖かいミルクを一杯だけ飲ませる事が出来た。
あのサディスト夫婦から責められるのなら、多分人間扱いされない。
食べ物も飲み物も与えられず、尿や淫水を啜らされ残飯を食べさせらるかもしれない。
いや、まだ鏡子は経験していないが、スカトロをさせられるわ可能性さえあるのだ。
せめて息子に最後の人間らしい飲み物を飲ませてあげたい。
そう思ったのだった。
外は1月の夜空に月が冴え渡っている。
二人は全く衣類は身に着けていない。
履物さえなく裸足である。
身体を縛っているのは先程までの縄ではなかった。
母親である鏡子の胸には乳房を上下に押し分け乳首に掛かる位置に細いチェーンが食い込んでいる。
さらに下半身にも同じ細いチェーンで股縄を施されていた。
極寒の季節に冷たい金属が身体の中で敏感な部分に食い込まされて苦痛を与える。
息子の翼も後ろ手錠で、未だにアナルのバイブは抜いてもらっていない。
「まあっ、やっぱり外は寒いわね。
大丈夫、叔母様?」
大丈夫な筈は無いが、鏡子にとっては寒さよりご近所の人から見られていないかと言う方が切実な問題だった。
香奈子は二人をサディスト夫婦のところに連れて行くのに自分の車を使うつもりなのだが、その車は鏡子の家から100メートルほど離れた空き地に駐車している。
付近は新興住宅街で、ある程度の経済力と良識を持つ善良でノーマルな人達の家庭ばかりだった。
鏡子と翼の家族も、母親はシングルとは言え会社経営者、息子は華奢だが学校の成績も良く礼儀正しい男の子と言う評判を保っていた。
それが今、二人が全裸で縛られて外を歩かされている姿をご近所の人から見られたら、もうこの家に住むことは出来ない。
鏡子の会社経営も翼の学校生活もお終いになるだろう。
それが恐かった。
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