「ほら、もっと胸を張れ」
「って言うか、海の近くに来ているのにヒールで来るってどうなの?」
「す・・すみません・・・。」
ギャラリーに聞こえる様にわざとらしく声を上げる。
(おお、見てる、見てる、木の陰から見てる、でも2人しか確認出来ないな~、もう少し歩いてみるか)
木陰の近くを歩いていると、急に木の陰からガサガサと音がする
「きゃっ!」
妻は私の体に抱きついて来た。
「何、何か居ます」
「アホか大丈夫だ、鳥かなんかだろう~行くぞ」
「怖い・・・」
妻は私から離れません、妻の手を引きながら歩き出します。
前方に公衆トイレの明かりが見えて来ました。
「おい、お前があまり急がせるから俺小便をしたくなって来たから、トイレに寄って行くわ~。お前ちょっと待ってて」
「私も、私も一緒に行きます。」
「お前も小便なの?」
「いえ、怖いのであなたと一緒に居ます。」
「お前やっぱり変態だね、男子トイレに入りたいなんて(笑)誰かに見られたらそれこそ変態だぞ」
「・・・・」
「大丈夫だからそこで待ってろ、何かあったら呼べばいい」
「・・・」
私は妻をトイレの外で待たせ、男子トイレに
「あ、あなた?」
「どうした?」
「まだですか?」
「お前はちょっと待つって事を知らないのか?まだチャック降ろしただけだ」
「・・・・」
「早くお願いします」
「こんばんは~」
「きゃっ!!あなた!あなた!!」
「おっと(笑)そんなに驚かないで(笑)」
「な、何ですか?あっちへ行って下さい!あなた!あなた!!」
小便を済ませ、騒いでいる妻の所に行くと男性2人40~50台?位の人に声を掛けられていました。
「こんばんは~」
手を拭きながら挨拶をする私、2人の男性達は振り返って
「こんばんは~、奥さんですか?」
「はい、そうなんですよ。今日初めての野外デビューで怖がってしょうがなくて(笑)」
「そうなのですね~、凄い格好をされている美人が居たので声がけしちゃいましたよ」
妻は胸を腕で隠し下を向いている。
「いえ、いえ、おばさんですよ(笑)」
「もし良かったら、この少し先に東屋がありますので、そこでお話しませんか?」
「いいですね!行きましょう、行きましょう~」
私は妻の手を引き、男性2人の後に続いて歩いて行く。
(あれ、あれ、あれ~、今まで想像していた事と違うぞ、覗きをする人はちょっと変わった人とかオタク気質の人がするのかと
思っていたけど、全然ちがうぞ・・・、普通の人で人柄も良さそうな人みたいだぞ~。ちょっと偏見も持っていたのかな・・・)
2,3分歩くと屋根の付いた東屋が見えて来た。
「さぁ~着きましたよ~、海も近くで風が気持ち良いでしょう~~」
「本当ですね~、でも電気はなくて月あかりなんですね」
「でもこれがあります、キャンプで使っていたランタンと懐中電灯」
「ランタンと懐中電灯?」
「はい、あまり電気をつけたりしていると見回りがこの頃厳しくて」
「へ~っ、だからあまり人がいないのですか?」
「ですね~、前はもっと色々な人が居て楽しかったけど、若い子が騒いだりして近所から苦情が来るようになって、おまわりさんの
見回りが厳しくなってしまって・・・。」
「そうだったんですね~、じゃあ露出の人も少なくなった感じですかね?」
「そうですね~、さっきのトイレとかこの東屋、そしてあの林でカップルがやるのを覗く感じですかね」
「そうなんだ・・・知らなかったです。」
「奥さんもびっくりさせて悪かったな(笑)さっきも言ったけど美人さんがそんな恰好していたら(笑)男だったらたまんねもんな
(大爆笑)お詫びに酒あるけど」
「俺は車なんで、妻にお酌させますよ。ほら」
妻をおじさん達の間に座らせた。
何だか知らないが飲み会が始まってしまった。
※元投稿はこちら >>