トントン・・・
しほ
「お着替えは終わられましたでしょうか?」
ヒロ
「済んでます」
スゥッ~
しほは大きく深呼吸をして、気持ちを引き締め部屋に入る。
しほ
「失礼します。」
「それでは施術を初めていきます。」
「施術台にうつ伏せに寝てください。」
ヒロ
「ごめん。仕事でトラブってるみたいで、電話かメールで連絡くるかもしれないから、
施術しながら対応するから今日は仰向けからでも良いですか?」
しほ
「それは構いませんよ。メニューは同じなので、前からでも問題ないですよ」
ヒロは申し訳なさそうに、スマホを持って施術台に仰向けに寝た。
しほは手際よく、ヒロの体に大きい施術用のタオルを何枚か使用し体を全部覆った。
しほ
「それでは、左足から施術してまいります。反対側の足には温石を乗せていきますね。」
いつものように手際よく、アロマオイルを素肌にしっかりと塗り込んでいくように施術を始める。
男の肌の上を、すべるような、滑らかな手つきで施術が行われる。
しほは無言で、今日のヒロの体の状態を確認していた。
どこが凝っていて、どこが張っているか、施術の強さは問題ないか
様々な情報を手のひらから感じ取っていた。
しばらく、無言の時間が流れた。
ヒロ
「そう言えば、この間は申し訳なかったね。」
「連れが酔っ払ってたみたいで、色々迷惑をかけてすまなかった。」
突然の前回の話を切り出した。
しほは一瞬、ドキっとして手の動きが止まりかけた。
しほ
「いえいえ、お酒の失敗は誰にでもありますので、お気になさらないでください」
その話題を深掘りされるのではないかとドキドキしながら答えた。
でもそれ以上、ヒロはその話題に触れてこなかった。
そして、再び沈黙の時間が流れる・・・。
いつもなら状態をある程度把握した後、世間話などの会話をするが、
今日はヒロがお疲れ模様なのか、目を瞑って大人しく施術を受けていたので
それを察知して、しほも自分からは話さないように施術に専念していた。
そして、左の内ももや股関節付近を施術している時のことだった。
ヒロの股間の上に被せているタオルが一瞬浮いたように見えた・・・
しほは咄嗟に、目視で状況を確認する。
するとタオルがムクムクと盛り上がっていく・・・
えっ、ぅ、うそ・・・
しほはドキッとした。
男性のお客様を施術中に、鼠径部などを刺激された時に勃起されてしまう方もいらっしゃる。
本人も恥ずかしいでしょうし、こちらも男性の生理現象と捉え、
そういう場合は、際どい部分からさり気なく離れた場所の施術に切り替え、様子を伺う。
しほもいつもと同じように、内ももの付け根辺りを施術していたが、一旦、太ももから脹脛辺りまで
自然な流れで降下していき様子を見る。
でも、通常はあまり気にかけないようにしているが
前回のこともあるだけに、ヒロ様がこんな状態になったことで一気にしほの体に緊張が走る。
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