剣持
「あ、あなたがビデオ通話の方ですか?」
先ほどよりも近くに頭を寄せ興奮を必死に抑えるように必死に小声で囁いた。
奈々はどうすれば良いか分からず、ご主人様に助けを求め、視線を送るが冷たい目をしていた。
奈々はどうしていいのか分からなかった…
でもこの期に及んで、お仕置きを行うターゲットが剣持でないことを必死で祈る…
いくら変装しているとはいえ、よりにもよって同期で一番仲が良い、いつも一緒に働く剣持に…
必死に剣持がターゲットでない理由を探すが、それがなんの意味もないことは分かっていた。
ただ、剣持を相手にご主人様からのお仕置き罰をこなす勇気がでなかっただけだ。
あのお仕置きメールの文面の中で一番の疑問であった
「男性が下りる駅迄の間に焦らしながら射精させなさい…」
これも剣持がターゲットであれば、当然いつも自分が下りる駅だから分かっている…
すべてが剣持がターゲットであることは明白であった。
だとすると、次に停車する駅から職場の最寄り駅まで約30分しかなかった…
奈々はどうすることもできず、ただ俯くことしかできなかった。
そうこうしているうちに次の停車駅に到着してしまった。
車内に人が雪崩れ込んでくる…
その人の波に押され、剣持の体が奈々の体に密着していく…
剣持は、目の前にいる女性を押しつぶさないよう
奈々の頭の上に左手を伸ばしグリーン車の連結ドアに手をついてガードする形になった。
まるで体格の良い剣持が奈々を守ってくれているような体勢になった。
いくら変装をして奈々だということに気づいていないにしても、今の自分の服装で剣持と密着していることに、さらに緊張が走る…
必死に息を殺し、身を潜めるようにして気配を消していたが、今にも心臓が外に飛び出してしまいそうなほど、その鼓動が全身に響ていた…
その時だった。
ご主人様
「ゴホンッ、ゴホンッ」
剣持の隣にいるご主人様がわざとらしい咳払いをした…
奈々の心の声
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「ど、どうしよう・・・」
「さっきの駅で急行電車に変わったから、会社がある駅までは約30分…」
「その間に停車する駅は1回…」
「どうしよう…」
「で、でも今の咳払いは、ご主人様が痺れを切らしている…」
「どうしよう…」
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奈々は焦っていた…
お仕置きを実行しなければいけないのに、
さらに勇気が出ず、体が動かなかった。
剣持を男としてみたことなど一度もなかった。
いい人であるのは知っているし、信頼している同期であることはもちろんだが、恋愛対象としてみたことは一度もないし、ましてや性の対象としてなど考えたこともなかった…
その時、茉凛から辱めスマホにLINEが入った。
茉凛のLINE
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「奈々さん、大丈夫ですか?」
「お仕置きは無理しないでくださいね。」
「奈々さんがご主人様から見捨てられたら、私がご主人様にいっぱい可愛がってもらいます」
「だから奈々さんに痴女や痴漢プレイは無理だと思うので、無理しないでください。フフッ」
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茉凛は、奈々が行動に移せない様子を見て追い打ちをかける。
奈々の心の中
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「茉凛ちゃん、なんでそんな意地悪なこと言うの…」
「茉凛ちゃんにもしほさんにもご主人様は取られたくない…」
「私のご主人様のなの!!」
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奈々は、ご主人様と茉凛から煽られ、追い詰められていた。
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