あまり奈々が顔を左右に振って抵抗するので
男も無理な体勢で顔の上に跨っていたこともあり
バランスを崩して、一旦ソファから降りた。
次の瞬間だった。
ピロリン・・・
スマホで動画を撮る音が部屋に響いた。
男が突然、慌てて奈々から離れた。
奈々は一体何が起きているか分からず、恐怖に震えていた。
ご主人様
「それはやり過ぎですね!」
「ホテルマンとして許される行為じゃないですよね!!」
ご主人様
「奈々さん、私の監督不行き届きで、怖い思いをさせて申し訳ない」
「ごめんなさい」
そう言うとシーツを奈々の体にかけて隠してあげた。
奈々はご主人様の声を聴いて安堵した・・・
ご主人様
「副支配人の冴島さん」
ご主人様は、男のネームプレートを覗き込んで名前で呼んだ。
冴島
「こ、これは違うんです。これには訳がありまして・・・」
「清掃員からの報告があって、確認にきただけで・・そのぉ・・・あ、え~」
男は動揺を隠せない・・・
ご主人様
「あなたの言い訳など聞く必要ないです」
「心情的には、今すぐにでも鉄拳制裁で懲らしめたいですが、事を大きくする方が得策でないと判断します」
「私はあなたのようなクズ人間は絶対に許さない」
厳しい口調で捲し立てる。
冴島
「こ、これは違うんです。本当に理由があるんです」
ご主人様
「言い訳不要」
きっぱり遮る。
全く取り合わないご主人様に納得のいかない男は暴言を吐いた。
冴島
「この淫乱女が悪いんだ。私はこの変態女に誘われただけだ!」
「だから私から襲った訳ではない!!」
「この変態女が悪い!」
いつも冷静なご主人様も、奈々のせいされたことに、さすがにカチンときた。
ご主人様
「どんな理由があれ、お客様の部屋に職権乱用で無断で入り、下半身を露出している今の状況は絶対に許されないこと」
「これは個人だけの問題ではない、それくらいは理解してますよね?」
「ちなみに、この部屋には隠しカメラを仕掛けていますので、一部始終が全部保存されています。」
「どんな言い訳をしても無駄ですよ。」
冴島
「そ、それは、誠に申し訳ございません。」
「ちょっと魔が差して・・・本当に申し訳ございません」
全部録画されていると聞いて、急に態度を豹変させた。
ご主人様
「謝るのは私にではないはず。」
男は奈々に謝ろうと、歩みよろうとしたがご主人様はそれを阻止した。
ご主人様
「奈々に近づかせる価値もない。」
男はその場で土下座して何度も何度も謝った。
ご主人様
「今のやり取りまでの動画を警察に持って相談に行ったり、ネットに流れたりらどうなるかバカでも分かりますよね?」
「あなた個人の問題だけではない。職権乱用した犯罪です。」
「このホテルも信用は無くなりますね」
「私は嘘をつく人間が大っ嫌い、あと人のせいにする卑劣な人間もだ。」
「よく覚えておけ」
ご主人様から初めて聞く、凄みのある声だった・・・
男をすぐさま部屋から追い出した。
そして再び、奈々の拘束を外し、奈々に深々と謝った。
ご主人様
「申し訳ないことをした。すみませんでした。」
奈々
「変なことされる前にご主人様が助けてくださいました。」
「だから、最悪の事態は回避できました。」
「ありがとうございました」
「奈々は大丈夫です」
奈々には目隠しをずっとされているだけに、どんな人だったのかも分からない。
ご主人様
「このホテルはチェックアウトしましょ」
「同じホテル内にいるというだけで不快です。」
そう言うと、ご主人様は急いで奈々にパンティを穿かせ、プリーツスカートに薄手のニットセーターを着せた。
ご主人様の雰囲気から、奈々はブラジャーも着用させて下さいと言える状況ではなかった・・・
何も口答えせずに急いで帰り支度をした。
チェックアウトの際に、フロントの方が、お代はいらないと副支配人から指示を受けているようだったが、ご主人様は無言で全額支払いをし、急いでホテルを去った。
ご主人様は、スタスタとホテルから遠ざかる。
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