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SM・調教 官能小説

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49
投稿者:雄一
土曜日の朝、九時過ぎに起きてリビングに下りていくと、父が一人でテーブルに座って
コーヒーを飲みながら新聞を読んでいた。
 おはようと声をかけて、冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを出して、一口
飲むと、  
 「ああ、おはよう。母さんは今、隣に回覧廻しに行った。隣の奥さんとは仲いいから、
暫くは帰らんぞ」
 新聞に向けていた目を僕に向けてそういって、
 「今日の栗田先生とこ行ったら、粗相のないようにな。ほんとはお父さんも一緒に行き
たいところだ」
 満更、冗談でもないような言ってきた。
 「先生に会うのがいいの?それとも元女優さん?」
 「バカ、親をからかうんじゃない。ま、いい話聞けたら、また聞かせてくれ」
 そういって父は椅子から立ち上がって玄関に向かっていた。
 白のポロシャツに、派手な格子柄のブレザーとコットンパンツ姿で、行き先はゴルフの
打ちっ放しとすぐにわかった。
 父のいう通り回覧を届に行った、母の帰宅は当分なさそうだったので、一人でトースト
でパンを焼き、牛乳を飲んでいたら、テーブルに置いていたスマホが、メール着信の振動
を伝えてきた。
 紀子からだった。
 (おはよう。電車の中。いい天気。友達大喜び。昨日のピザのお礼に、雄ちゃんちに向
けて投げキッス)
 しっかりしているようで、紀子の頭の中は中学二年のような幼いようだ。
 夕方まで所在なく家でぶらぶらしていた。
 俶子から届いている未読メールは、今日は何故か読む気になれず、昼過ぎに思い切って
電話を入れてみた。
 結婚式前日で、準備やら人との応対があったりして、多分、出てはもらえないだろうと
思っていたのだが、二回のコールで出たので、逆に僕のほうが慌ててしまい、思わず言葉
を失くしていた。
 「もしもし、雄一君?」
 「あ、ああ、忙しいと思ってたんで、少しびっくりした」
 「ううん、今は家で一人よ。…嬉しい」
 俶子はもう泣き声になっていた。
 「おめでとうって言っていいんだろ?」
 つとめて冷静を装って僕は聞いた。
 「ありがとう。これも運命だから。ウエイデイングドレス着て、地獄へ行くんじゃない
から」
 「だよね。メール読ませてもらってるけど、まだ途中でごめん」
 正直に言って僕は詫びた。
 「ああいうメール送れるの、あなたしかいないから、逆にごめんね。タイミングのいい
時に電話くれて、正直な気持ちを聞かせてくれる、あなたが、ほんとに好き」
 「何もお祝いあげれなくて、もう一回、ごめん」
 「この電話が何よりのプレゼントよ、ありがとうね」
 「結婚する人に言う言葉じゃないけど、俺は忘れてないし、忘れないからね」
 「泣いちゃいそう」
 「じゃ」
 地下鉄の九段下駅を降りて、靖国神社の裏側に向かうと、それなりに歴史のありそうな
一塊りの住宅区域が見えてきて、その塊りの真ん中ぐらいに、重厚な板塀に囲まれて瓦葺
きの門扉のある、敷地の広そうな、栗田教授の家はあった。
 門の横の栗田という表札を二度ほど確認して、僕は喉の奥に唾を一つ飲み込んで、イン
ターホンのボタンを押した。
 約束の六時に五分ほど前だっったが、インターホンから電話で聴いた野太い声が聞こえ
てきたので、僕は少し安心して名前を名乗った。
 「おお、上野君か、待っとったぞ。門を開けて入ってきてくれ」
 母が買ってきてくれた、どこかの銘菓店の手土産を下げて、木造りの門を開けてはいる
と、石畳の通路が間口の広い玄関まで伸びていた。
 建物は延べ坪数も相当にある木造二階建てで、重厚そうな日本瓦と、焦げ茶色に塗られ
た押し縁下見板に包まれていて、大正か昭和の初め頃に建てられたような、荘厳さが僕に
もわかるくらいだった。
 二間ほどの間口の玄関の横は、猫の額ほどの我が家の貧相な庭が、五つほども入りそう
な広さで、凝った庭石や池もあったりして、何もかもに圧倒された気分で玄関の前に立つ
と、引き違いの腰高硝子戸が、中のほうから静かに開いた。
 「いらっしゃいませ」
 とうやうやしく頭を下げ、挨拶の言葉を言ってきたのは、白地に紫の花柄模様の入った
着物姿の、見るからに容姿端麗な女性だった。
 長そうな黒髪をアップにして、白くて細いうなじを覗かせていて、憂いを含んだような
優し気でやや伏し目がちの眼差しに、驚くような妖艶さを漂わせている。
 ほっそりとした顔の色が雪のように白く、赤い唇が際立って映えて見え、僕の息が一瞬
止まったようになった。
 多分、栗田教授の夫人に違いない妙齢のその夫人が顔を上げ、痴呆のようになっていた
はずの僕の顔を見つめてきた時、澄み切った黒い瞳が、小魚が急に跳ねて方向転換したよ
うに揺れ動いたのが見えた。
 何年も会っていない知己の人に会ったような、小さな驚きの表情だったが、無論、僕に
は間違いなく初対面の人である。
 夫人はすぐに表情を戻して、玄関前に声を失くして立ち尽くしているだけの僕に、細い
手の指を指し出すようにして、
 「どうぞ」
 と奇麗な声で、中へ招き入れてくれた。
 足を少しもつれさせながら、広い玄関口に入った僕は、僕は少し吃音的な口調で自分の
名を名乗って、靴を脱ぎ上がり込んだ。
 くすんだような木目模様の内装の、広くて奥行きのある廊下を夫人に案内されて、右側
のドアを開けて中へ入ると、十畳以上の広さのある応接間があり、ガラステーブルの三方
に、ふわりと柔らかく膨れ上がったようなソファが置かれていて、その横は五、六人が座
れるダイニングテーブルがある。
 建物の外観とはまるで違う、洋風の内装になっていて、壁に添うように置かれている家
具類も、外国風の洒落た落ち着きのあるデザインになっている。
 帰宅して間もないところだったのか、上着を脱いで蝶ネクタイにワイシャツ姿の、小太
りで丸い体型をした、栗田教授がハンカチで忙しなげに顔を拭きながら、ダイニングテー
ブルに座り込んでいた。
 テーブルの上には、何本かの赤いバラを差し込んだ花瓶が置かれていて、教授の前とそ
の対面に黒い長方形の鰻重が置かれていた。
 「やあ、よく来てくれた。この室はちょっと暑いが、外は寒かったろ?何にしても先に
飯だ。おい」
 栗田教授は言いながら、殿様然とした顔で、ダイニングの奥でお茶の用意をしている夫
人のほうに顔を向けた。
 僕と教授にお茶の用意をしている夫人に、教授はぞんざいな口調で、僕のことを改めて
紹介してくれた。
 「ほら、この前、儂が話したろ?十六の若者とは思えないくらいの視点で、古い歴史の
小さな一端を上手く書く奴がいるって。それがこの子だ」
 鰻の蒲焼が二層に敷かれた重箱を手に持って、腹を空かせた子供が掻き込むように頬張
りながら、教授が喋るのをテーブルの隅に座って、夫人は何度も頷いたり、小さな笑みを
浮かべたりして、言葉を挟むことなく聞いていた。
 夫人の座った場所が、僕から椅子を一つ置いたところだったので、鰻のタレの匂いに混
じって、エアコンの風のせいもあったのか、時折、ひどくいい匂いが僕の鼻先を擽ってき
ていた。
 僕の自惚れか思い過ごしかも知れなかったが、元女優の夫人の目が、必要以上に何度も
僕に向けられていそうな、その時、そんな気がした。
 美味しい鰻重をご馳走になり、食後のコーヒーを出された時、
 「そうだ、色々と君の意見や話を聞きたいから、今夜はここに泊っていきなさい」
 ととんでもないことを言い出した。
 勿論、僕は固辞したが、
 「君が書いていた、あの平家伝説で壇ノ浦で入水死した、平宗盛の弟の知盛のまだ幼か
った隠し子を連れて、奥多摩の山地まで逃げ延びた武士が、書き遺したという日記をあそ
こまで奇麗な純愛物語にした、君のそれこそ隠れた才能に、私は心底惚れ込んだんだよ。
おい、百合子、そういうことにしたから、よろしく頼む」
 と嫌も応もなく、勝手に話を進められ、僕は仕方なく、自分の家にその旨を連絡した。
 その時、電話に出たのは父で、嬉しそうな羨ましそうな声で了解の返答をしてきた。
 それからすぐに、僕は応接室の隣にある教授の書斎へ連れ込まれ、三時間以上も幽閉さ
れ、源平合戦のあれこれや、さらに遡って源氏と平家の争いの、そもそもの発端まで聞か
される羽目になってしまったのだ。
 僕の書いたレポートは、源平のそんな入り組んだ話などではなく、三十代そこそこで世
を去った平知盛の隠し子が、成長して奥多摩に長く住み、村の娘と為さぬ恋に落ち、奥多
摩山地の大岳山の崖で、手を取り合って身投げ自殺をしたと、寺の古文書を勝手に歪曲し
て、ほとんど憶測だけで書いただけのものである。
 教授のほうは、その悲恋の二人の間に生まれていた子供がいて、途絶えたと言われてい
た平家の血筋が、今の世まで脈々と生き続いていると、正しく口角泡を飛ばして言ってく
るのだったが、僕のほうが逆に冷静になって、
 「先生、僕のほうは、はっきり言って完全な創作ですよ。子供が生まれたとか、そんな
ことはあの古文書には、何も書かれてないんですよ」
 と諫めることもあったりした。
 一度だけ、書斎のドアがノックされて、夫人がコーヒーとショートケーキを運び入れて
くれた。
 そのわずかな時間の間でも、夫人が夫にはわからないような仕草で、僕に意味ありげな
視線を向けてきていたのを、僕は気づいていた。
 教授の講釈と熱弁から解放されたのは十時過ぎだった。
 僕の寝室は二階の八畳の客間があてがわれ、我が家の風呂より二倍以上も広い浴室に浸
かって客間へ入ると、中央に大きな布団が敷かれ、スタンドと水差しが整然と置かれてい
た。
 教授たちは、一階の書斎の奥にある寝室に寝るようだった。
 布団に入り暫くして、僕はそういえばこの家に来てから、スマホを弄っていないことに
気づき、壁に掛けた服のポケットを探ってみたのだが、スマホはなく、ズボンのポケット
を探してもないことに気づき、すぐに思い出した。
 書斎で教授と長く話し込んだ時、平家の何かをネットで調べようとして手に持って、そ
のまま椅子の横にあった、サイドテーブルの上に置き忘れてきたことを思い出したのだ。
 柱の時計に目をやると、十一時を過ぎていた。
 自分の家なら何の躊躇もなく下に降りて、スマホを取りに行けるのだが、初めての、そ
れもまだそれほどの面識もない他人の家で、こそこそと動き廻るのは、さすがに僕も気が
刺したが、どうにも落ち着かない気持ちだったので、もう少し、時間をやり過ごして、教
授夫婦らが寝静まってからにしようと決めて、布団に仰向けになっていた。
 柱の時計が十二時を過ぎたところで、僕は布団から起き出して、階段に続く廊下の戸を
静かに開けた。
 廊下も階段も真っ暗だったので、僕は壁を伝い忍び足を潜ませながら階段をゆっくりと
降りた。
 広くて奥の深い廊下に出る。
 暗い中をさらに足を忍ばせて、書斎のドアの前まで行く。
 ドアノブを掴んで廻すと、施錠はされていなかった。
 それこそ抜き足差し足で、暗い室に入っていくと、寝室に続くドアが少し開いていて、
そこから灯りの線が書斎に入ってきていた。
 小さな胸騒ぎを感じながら、灯りの漏れているドアのほうへ身体を進めると、ピシッと
鞭を打つような音が突然聞こえてきて、
 「お、お願いですっ、奥、奥様、も、もっと私をぶってください」
 という悲鳴のような、男のダミ声が、僕の耳に飛び込んできた。
 間違いなく栗田教授の声だ。
 鞭の音が続いて響いてきた。
 「ああっ…き、気持ちいいですっ、お、奥様っ」
 胸を昂らせながら、僕は灯りの漏れ出ているドアに近づいて、全身を竦めるようにして、
恐る恐る隙間から覗き込んだ。
 洋間の室で、広いベッドが壁に沿って見えた。
 素っ裸になった栗田教授の身体が、ドアのほうに剥き出しの臀部を突き上げるようにして、
晒しているのが見えた。
 手が後ろに廻され手錠のようなものを嵌められていた。
 赤い襦袢を着た細身の女性が、教授の真後ろに立っていて、片方の手に焦げ茶色の革製の、
鞭のようなものを持って、一定の間隔を置いて、栗田教授の臀部や背中を容赦なく打ちすえて
いた。
 こちらに背中を向けている、赤い襦袢の女性の顔は見えなかったが、長い髪をアップにした
姿から、教授夫人の百合子に違いないと僕は確信した。
 「ああ、お、奥様…も、もっと、もっと私を虐めてください」
 ベッドに異様な態勢で顔を伏せている、栗田教授の顔は見えないが、鞭を打たれるたびに快
感に酔い痴れるような淫猥な声が、間断なく漏れ聞こえてきていた。
 「どスケベ親父、今度はどこ?」
 そう聞こえてきた声は、百合子夫人の声に間違いなかった。
 僕は驚きをひた隠しながら、ドアの傍に腰を下ろしながら、視線をベッドに集中させた。
 豪放磊落な感じだった栗田教授が、奴隷になったような声を挙げ続け、そして元女優の気品
の高さと、しとやかさしか感じなかった、百合子夫人の二人が下卑た声音を出したりと、まる
で予想もしていなかった成り行きだった。
 去年の夏休み以来の、僕の種々の性の体験が生きているのか、驚きは確かにあったが、それ
ほどの動揺も戸惑いも感じることなく、自分でも不思議なくらいに僕は対処できていた。
 「お、お尻を…お、犯してください」
 「お尻?…ふん、そんな汚いお尻を私に触れっていうの?」
 「お、お願いです、い、いつものように…は、恥ずかしく犯してください」
 「ふん、しようのない、ど、スケベ親父ね」
 百合子が身体を屈めて、ベッドの横の棚から、何かの器具を取り出した。 
 黒い色をしたシリコン製の、誰が見ても男のものを模したとわかる、大人用の玩具で、普通
の人間のものよりも、太さもあり、長さもあった。
 顔がこちらには見えないまま、赤い襦袢の女は、手に取ったそのものを自分の顔の前に翳し
たかと思うと、ふん、と蔑んだような小さな鼻息を吐いて、剥き出しになっている栗田教授の
臀部に突き刺すように当てがっていった。
 小さなモーター音が聞こえてきた。
 襦袢の女の持ったものの先端が、妖しげに蠢き出したのが見えた。
 「ああっ…お、奥様…う、嬉しい」
 夕食の後、書斎に僕を引き入れて、平家伝説の何たるかを滔々と喋り続けた、教授の磊落な
面影はどこにもない、淫猥に満ちた声が、ドアの隙間を通して僕の耳にはっきりと聞こえてき
ていた。
 赤い襦袢の女、教授夫人の百合子と断言してもいいが、彼女が手にした黒いシリコンの玩具
は、すでにその先端を臀部の尻穴に何センチかめり込んでいた。
 教授の男とは思えないような、下卑た悶えの声だけが耳に入ってきている。
 「ああ、き、気持ちいいです…も、もっと恥ずかしい言葉を」
 シリコン製の卑猥な器具を、剥き出しの弛んだ臀部の尻穴に突き刺されて、ぜいぜいと息を
吐きながら、教授は我を忘れたように悶え狂っているようだった。
 「どこが、どこがいいの?」
 今も顔が見えない夫人の、食事時に僕の横に座り、慎ましげに微笑んだりしてきていた、気
品に満ちた表情からは、少し想像できないような棘のある言葉に、僕はまた驚きを大きくして
いた。
 「あ、あなたの奴隷の…よ、汚れたお尻が」
 「あんたみたいな、下品な奴隷なんていらないわよ」
 百合子夫人の、投げ捨てるような声を聞いていて、僕の何かよくわからない、直感めいたも
のがふいに頭を擡げた。
 夫である教授を、辱めて虐げている声には違いなかったが、僕にはそれは本心からではない
ような気がした。
 もしかするとだが、歪んだ被虐性癖の旺盛な栗田教授が、強制的にそうさせているのではな
いか、という疑問が僕に湧いたのだ。
 異常ではあるといえ、愛する夫の嗜好のために、元女優の経験で嗜虐的な女として演技をし
ているのでは、と僕は自分勝手に思ったのである。
 今日の夕刻、玄関先で初めて百合子夫人に会って、僕の頭に直感的に駆け巡ったのは、この
人は被虐の人だという思いだった。
 これまでの僕の少ない経験でいうなら、僕の祖母と、尼僧の綾子に似た感慨を、直感的に持
ったのだった。
 栗田教授の、およそ学者らしくない、豪放磊落な気性と風貌からは想像もできなかった、驚
きの性癖を図らずも目の当たりにした僕だったが、それだからといって教授への嫌悪の気持ち
が、特段に削がれたというのでもなかった。
 自分自身の性格の二面性と同じで、人には人それぞれのスタイルがあっていいと、自己弁護
ではなく僕はそう思っているのだ。
 二人の行為を最後まで見ることなく、僕は足音を忍ばせて書斎の室から退散した。
 布団の中で目を閉じると、頭の中に百合子夫人の赤い襦袢の背中が、何度も浮かんできたが、
端麗な顔はいつまでも見えないままだった。
 あくる朝、目を覚まして服を着替えて下に降りていくと、洋装姿の百合子夫人一人がダイニ
ングキッチンで、忙しなげに動き廻っていた。
 昨日はアップにしていた長い髪を後ろに束ねて、白のセーターに赤い花柄のスカートに水色
のエプロン姿だ。
 しなやかそうな細い身体にフィットしたセーターとエプロンの、胸の辺りの膨らみが美しい
曲線を描いているのが、僕の目を少し大きくしていた。
 「おはようございます」
 と夫人の背中に挨拶の言葉をかけると、彼女は驚いたように振り返ってきて、
 「ああ、おはようございます。どうぞ、そちらに」
 と少し気恥ずかしそうな笑みを浮かべて、ダイニングのテーブルを手で指してきた。
 テーブルには朝食の用意が出来上がっていて、夫人が湯気の立つ味噌汁を盆に載せてキッチ
ンを出てきた。
 壁に掛かっている時計を見ると、八時過ぎだった。
 椅子に座り、僕が周囲を窺うような目をすると、
 「ごめんなさい、主人はもう出かけてしまいましたの。今日はゼミの学生たちと静岡のほう
に行くとか言って、七時半に出て行きました。あなたによろしくとのことでした」
 我が家の朝食とはまるで違って、皿がいくつも並んでいるのに驚きながら、
 「こちらこそ、何も知らなかったことを幾つも教えて頂いて、ありがたかったです」
 そういいながら夫人のほうに目を向けると、色白のやや彫りの深い感じの顔の、輪郭のはっ
きりとした赤い口紅が、最初に僕の印象に残り、その流れで何故か、昨夜の赤い襦袢が頭に浮
かんできて、僕は思わず狼狽していた。
 暖房の効いた室の空気が動いたのか、百合子夫人の座っているところから、昨日と同じ花の
香りのような匂いが僕の鼻孔に漂ってきた。
 二杯目のお代わりをした僕を、夫人は嬉しそうな笑みを浮かべて見つめてきていた。
 味噌汁を啜った後、僕は何げない顔で、
 「そういえば昨日初めてお会いした時、僕の顔を見て、少し驚かれたような表情をされてい
たみたいに思ったんですけど、何かありました?」
 そう聞くと、今度は夫人の顔のほうがうっすらと赤らみ、目を下に俯けた。
 長い睫毛を何度も瞬かせて、テーブルに置いた手の、白魚のような細い指を忙しなげに組ん
だりしてきていた。
 「あ、あのね。あなたが…わ、私が幼い頃から知ってる人に、そっくりだったの」
 夫人がその言葉を発するまで、二十秒近くはかかったと思う。
 「あ、そうなんですか。こ、光栄だな、大女優の人の知り合いに似ているって言われて」
 五十代半ばの妙齢の夫人が、十六のヒヨコの、ませた口を聞く僕に心を許したように、遠い
過去を懐かしむように訥々と話を聞かせてくれた。
 夫人が今の僕と同じ年代の頃、同じ学校に通う一学年下の男子と、淡い恋中関係になって楽
しい時を過ごしたことがあるという。
 その一学年下の男子は、顔も背格好も今の僕と、まるで生き写しのようだったので、最初の
対面の時に驚いてしまったとのことだ。
 しかし、その男子生徒との淡い夢のような交際は、一年と続かなかったと、夫人は少し涙目
になって、悲しげな声で話した。
 健康な身体だったその男子が、学校の体育の時間に突然倒れ、救急車で病院に運ばれた時に
はもう絶命していたということで、突発性の脳梗塞による動脈破裂ということだった。
 それを聞かされた時の、夫人の悲しみと絶望は、誰に話しても真に理解はしてもらえないく
らいに大きかったという。
 「彼が亡くなる前日にね、私たちデートしててね、隣町にある小さな山に登山してたの。平
日に二人とも、学校ずる休みして、お弁当を頂上で一緒に食べた時、とても美味しかった。そ
したら彼がね、突然私に抱きついてきてキスしてきたの。勿論、初めてよ。私、驚いて少し逃
げてしまったんだけど、気持ち的には許してもいいかな、と思ってたんで、身体の力を抜いた
時にね、頂上に駆け上がってきた登山グループが現れて、それで、そのまま立ち消えになって
しまって…そのあくる日の突然の訃報だったから、悲しみと昨日の登山の時の後悔で胸が一杯
になってしまって…」
 そう話した夫人の切れ長の目の端に、涙の粒がはっきり見えた。
 「悲しいけどいい思い出ですね。…僕でよかったら」
 と一度、僕は言葉を切って、
 「その思い出を、ここで再現してみませんか?」
 と、とんでもないことを僕は口走ってしまっていた。
 無論、意図して出た言葉ではなく、口が勝手に喋ってしまっていたのだ。
 夫人が昔好きだった男性に、僕がそっくりだということで、すっかり気持ちを緩めて話して
きている表情や仕草を、僕は何か違う目で見ていたようだった。
 僕自身の性格の、裏面が出てきているような気がした。
 夫人の声を聞いていて、どういうわけか、何度か奥多摩の祖母と尼僧の綾子の顔が浮かんで
きていたのだ。
 それまで涙を美しく滲ませていた、百合子夫人の色白の顔に、驚きとも戸惑いともつかぬ表
情が浮かんでいた。
 僕の口から勝手に出てしまっていた言葉の意味を、百合子夫人がどう解釈したのか、正確に
はわからなかったが、僕の究極的な意図にはどうやら気づいたみたいで、色白の顔に見る間に
赤みが差してきていた。
 「役不足は承知ですが、そんなに僕があなたの恋人に似ているのだったら、あなたの恋人に
喜んでなります」
 いわずもがなの言葉が、まるで何かの箍が外れたように、自制も効かず、次々と僕の口から
出ていた。
 もうノンストップだと、僕は決心して、徐に椅子から立って、夫人の傍に近づいた。
 テーブルの上には、朝食の茶碗や皿が散在したままだった。
 近づいた僕のほうに、慄いたように慌てて顔を向けてきた、夫人の唇を、僕は身体を折り曲
げて自分の唇で塞ぎにいった。
 夫人のほうの目は大きく見開いていたが、手で強く払い除けてくるとか、椅子から立ち上が
ってくるということはなかった。
 もし、百合子夫人にここで強く拒絶されたら、それはそれで自分の思い違いで済ますつもり
でいた。
 赤い唇の柔らかな感触だけ確かめるようにして、十秒足らずで、僕のほうから唇を離した。
 「寝室は書斎の向こうだったか?」
 夫人の額に自分の額を当てて、僕はわかっていることを聞いた。
 黙ったまま夫人は、細い顎を頷かせてきた…。




                                続く
 
 
 
 
 



















 




















































































 
 
 
 

 

った後、僕は応接間の隣にある教授の書斎に連れ込まれた。
 
 

 
 
 



 

 、



※元投稿はこちら >>
23/07/20 13:14 (BjulJAtf)
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