「堕ちる」Ⅳ
「おはようございます…」
いつものようにスクールに向かう前に、ユカに挨拶を交わす。
「おっきたきた、М女~、露出狂~、キャハハ。いつもより匂いがひどいなぁ~。汗臭いどころちゃうで~」
ユカの辺りを憚らぬ大きな声に、貴子は周りを見回し、『シー』と口に人差し指を当てた。
「お前のクッサイ水着な、ちゃんと洗っといたし、後でちゃんと着替えや~」
「は…ぁ…」
「なんや、リアクション薄いな。まぁえぇわ、いつもの所や、早よ行かな無くなるで~。まぁ誰も欲しがらへんか、あんな臭い水着なんか」
「…」
「あ~、そうそう、ちょっと冷たいかもしれへんけど、風邪引いたらあかんで~。まぁアホは風邪引かんっていうから大丈夫か、キャハハ」
案の定、従業員用女便所の便器の中に、貴子の水着がこれ見よがしに投げ込まれていた。
ユカが言った『アホは風邪引かん』は当たらず、この虐めな仕打ちにどМの貴子は興奮したけれど、意に反して夏風邪を引いた。
別の日。
「おっは~」
ユカが満面の笑みを浮かべて、糞尿奴隷貴子に挨拶を寄越した。ユカのこんな時は何かあると身構えながらも、オズオズとご主人様に挨拶を返す。
「おっ、ぉはょぅ……ございます…ュカサマ……」
「なんや、最後なんてゆーたんか、よ~聞こえんわ。まぁえぇわ、着替えはいつもの所とちゃうで~。アホな頭フルで使って、しっかり探しや」
「はぁ~。ゎかりました…」
「なんや、相変わらずしょーもないリアクションしよってからに」
「すみません…。ヒント、もらえませんか…」
「しゃ~ないなぁ~、いつもの所はいつもの所やけど、今日は男の方や、わかったらさっさと行くッ!早よしな、子どもらに見られるでっ!あんたの汚いモン見せてトラウマになったらどうすんねん。ゆーとくけど。ちゃんと着替えたら、どうやって出てくるかわかってるやんな」
ユカの剣幕に押されて、貴子は大急ぎで男性用便所に向かう。ユカの言ったとおり、お気に入りの水着が無残にも大便器に放り込んであった。
貴子は『ユカ様。酷い』と心の中で呟きながら、大便器の水着を取り出す。洗面に持って行き洗い流してから、乳パッドも舟底の当て布も取り外した水着を力一杯に絞った。着替えようとしているところに、ユカの声が男子便所のドア越しに聞こえてくる。
「グズグズしてんと着替えたら早う出てき!」
「できました…」
「ウソつけ、ちゃんと着替えたらってゆーたやろ。なんで口きけんねん」
「…」
ユカの着替えの命令は、水着の着替えだけではなくキャットマスクに鼻フックであった。貴子が大急ぎで男子便所に向かう前に、キャットマスクと鼻フックは手渡されていた。
「れひはひは(できました)」
「ほな開けるで~。ウケる~、なっ、ゆーたとおり、センパイってヘンタイやろ。ほら歩いてみ」
ユカがオモシロ可笑しく囃し立てる後ろに、同僚のあやかが覗きこんでいた。ユカに促されて、トイレの床に四つん這いで出てきた。
「あやかちゃん。センパイな、こんな風に苛められるん好きやねん。こんなんでオメコ濡らす変態やで」
「貴子先輩!」
「遠慮いらんから、オメコ触ったり~。濡れてるで」
ユカに言われるままに、あやかが貴子の股間に手を伸ばした。
「ほんまや。ヌメっとしてるわ。粘っこい汁みたいなのが出てる!」
あやかが、ユカに糸を引いている親指と人差し指を突き出して見せている。
「な!センパイは、こんなんで興奮する変態奴隷なんや。それに、私が飼うてるねん」
「……」
「あやかちゃん。貴子センパイは、私の糞豚奴隷なんやで」
貴子を蔑みながらそんな話をしているうちに、遠くの方で子供達の声が聞こえてきた。
「糞豚貴子。もうええわ。こんなとこ見られたら子供がトラウマになったら困るし。スクールの時間やから、元にお戻り」
ユカのお許しが出たので、貴子はキャットマスクと鼻フックを取って、鼻の穴のところにフックの痕を残して二本足に戻る。
「お先です」
と貴子は、誰にとも分からず声をかけて、ユカとあやかを残して、足早にプールに向かった。
ユカの虐めとも思われる調教は、日に日にエスカレートしていく。戸惑いながらも、根っからのМ気質の貴子は、この仕打ちにますますのめり込んでいくのであった。
(完)
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