玲奈の説明は曖昧で、心に湧く疑問は一つも解決しなかったが、沙苗は自分でもナゼなのか理解できていなかったが、否定せず、抵抗せず、玲奈の言葉を聞き続けていた。
そんな沙苗の目の前に、玲奈がタブレットを置いた。
沙苗が画面を見ると、そこには自分の家と同じ作りの、玲奈の家の玄関が写っていた。
扉の左右にある磨りガラスの光が揺蕩っていなければ、ただの画像だと思ったかもしれない。
そんな何の問題もない光景に思えた。
しかし次の瞬間、インターホンの音が部屋に鳴り響いた。
それが1階のエントランスからのインターホンの音だと気づくのに時間がかかるほど、沙苗はまだ動揺していた。
立ち上がった玲奈の方に視線を向けると、壁の小さなディスプレイには、見たことのない色の作業服を着た配達員らしき男が大きすぎるダンボールを抱えて立っていた。
玲奈は面白くて仕方がないといった笑顔で沙苗を見ながら、受話器をとって「はーい」と答えた。
「・・・お届け物です」
そう呟いた男の声がスピーカーから聞こえた。
玲奈は顔を高揚に赤くして、少し息を吐いてから「・・・はい」と言って解錠のボタンを押した。
「ここで見ててね・・・」
そう言いながらタブレットをテーブルに立てる。
「絶対に声を出さないで・・・わかった?」
それまで誰からも向けられた事がないほど、キツい視線で玲奈が言った。
それは怒っているとゆうよりも興奮しているように見えた。
そう感じるほど、玲奈の整った綺麗な顔が強張っていた。
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