山崎は問診を進めながら涼子を観察していた。
受診日を守った時点で目的のほとんどは達成されたが、今回の診察こそが重要だと思っていた。
被害届が出されていないことは数日で証明された。
それに被害を訴えられてもいくらでも抵抗できる。
そして涼子は被害届を出さず、予定された通りに受診されに来た。
もしも理性が強すぎたり、もしくはそもそも資質がない女ならば、病院の予約など守らず逃げるだろう。
ただ、欲望に弱すぎるのはダメだ。
それは山崎の経験則だった。
快楽に弱くだらしない女は、手に入れても簡単に壊れてしまう。
自分を抑えられず、勝手に暴走して破滅していく。
女だけならどうなろうがかまわないが、手に入れて玩具として楽しんだ後は、診察だけとはちがい少々不都合な事実の痕跡が残ってしまいかねない。
その意味で、涼子は理想的だった。
逃げずに予定通りに受診されに来た。
通報もせず、おそらく旦那に相談すらしていないだろう。
そして、ここに来た自分を後悔している。
後悔し、おそらく絶望もして・・・けれど快楽の余韻に負けてしまってここに来たのだ。
山崎は涼子が秘めている資質を想像し、マスクの下の唇を下品に歪めて笑った。
「で、前回から少し時間が経ちましたが・・・旦那さんとの行為は?」
涼子は無言で首を振る。
それを見た山崎は、もしも涼子が俯いていなければ、マスク越しにでも気づいただろう笑顔になる。
「・・・一度も無い・・・とゆう事ですか?」
(そりゃそうだ。アレを飲ませ始めてからもう1ヶ月以上経つんだから。むしろ効くのが遅すぎるくらいだ。・・・まぁいいか。アレは飲むのを止めたって、半年は効果が続く。今日も飲んだようだし、それだけ時間があれば・・・)
山崎は無言で頷く涼子を見ながら、下衆な考えに没頭する。
そして、涼子に次のステップを命令した。
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