前年 8月29日
笹野涼子は病院の入り口でため息をついた。
視線は総合病院の壁に書かれた『婦人科』の文字に注がれている。
初診から3週間、これで3度目の受診日だった。
涼子は不妊に悩んでいた。
淡泊な旦那は求める日も少なく、回数も必ず1回で終わるので、最初の頃はそんなものかと思っていた。
けれど結婚から3年が経ち、さらに自分の年齢も28になった事で不安な気持ちを抑えられなくなっていった。
もちろん旦那にも何度も相談したが、やはり男性だからか「気にするな」で終わってしまう。
それで仕方なく、涼子は1人で婦人科を受診することにした。
そこが、気に入った人妻を快楽の虜に堕とし、玩具にする変態医師の棲み家とも知らずに。
名前を呼ばれて診察室に入ると、いつもの色黒の太った医師が涼子を見ていた。
山崎と書かれたネームプレートを着けたその医師の表情は、マスクをしているせいで読み取れない。
しかし涼子は初診の日から、その視線にある種のおぞましさを感じていた。
「どうぞ」
促されて椅子に座る。
「さて、では問診から始めましょうか・・・」
医師は毎回、この問診をする。内容は簡単な体調の確認から旦那との行為の回数までさまざま。
これは恥ずかしがる人妻の表情を楽しむ目的もあったが、一番は状況を確認するための情報収集だった。
「そうですか・・・先週の土曜日にねぇ・・・」
言いながら、山崎は(まだ効き目が薄いか・・・)と考えていた。
山崎は人妻を堕とす最初の準備として、その薬に催淫剤を混ぜる。
そうやって本人の意思に関係なく体を欲求不満にしておいて、旦那には精力減衰の薬を処方する。
快楽に飢えさせ、その快楽を得る方法を『治療』だけに限定する。
そして『治療』の内容をエスカレートさせ、体には快楽を、心には洗脳に近い精神支配を与えていく。
「旦那さんには、ちゃんと薬を飲ませてますか?」
いろいろな質問を受け続けている涼子には、これも問診の一つに感じて素直に答えていく。
「はい・・・最初は少し抵抗があるみたいでしたが・・・」
「私が言った通りに、不妊の原因が旦那さんの精子の不良にあるかもと言ったら飲んだ?」
「・・・はい、ここ数日は渡し忘れても自分から求めてきます」
「そうですか・・・」
(まぁ・・・あとは、待つしかないか・・・)そんな事を想いながら、変態医師は今から始まるお楽しみの時間・・・人妻を辱める行為に思いをはせ、涼子を分娩台に向かわせる。
涼子はカーテンの中でスカートを捲り、下着を脱いでから分娩台に乗る。
台は最初から開かれており、自然と涼子は足を開いて医師を待つような姿になる。
3度目とはいえ恥ずかしくて、医師が自分の腰のあたりに目隠し用のカーテンを引くと、それが本当は変態医師のイタズラを隠すための目的で引かれたのに少し助かった気分になる。
「では・・・始めますよ」
山崎は、大きく広げられた涼子の秘部に卑猥な笑みを浮かべながら言った。
カーテンのせいで、その悪意に満ちた表情を涼子が見ることはなかった。
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