そこには大量の商品が整然と陳列されているに過ぎないのだが、問題は商品の用途であった。
この種の知識に疎いしのぶですら用途が明らかな商品、それは男性器を模した性具であり、女性器を貫き、快楽をもたらす為に作られた器具が並べられている。
(・・こんな・・たくさん・・凄い・・。)
最初に感じたのは様々なサイズ、色、形状の豊富さに対する驚き。
次は清水に対する憤り。
最後に襲いかかったのは、ふと思い浮かんでしまった光景、それらの性具に貫かれる自分自身の姿、その光景に欲情して潤い始めているしのぶ自身への嫌悪感であった。
だが揺れ動く感情とは裏腹に、しのぶの視線は多様なラインナップから逸れることはない。
(・・こんな太くて・・イボイボ・・入らない・・。)
ふと我に返って清水を振り返れば、興味深そうな表情でしのぶの様子を伺っており、茶化すように言葉をかけてくる。
「お気に召すものはございますか?」
「なっ・・ち、違います!」
恥辱のあまり、逆に自分で驚いてしまう程の声を出してしまうが、周囲を見回しても幸いにして店内に他に人の気配は感じられない。
「・・ただ・・こんなに種類があるんだなって。」
しのぶは平静を装いながら言葉を紡ぐが、見透かしたような表情を浮かべつつ、清水は続ける。
「初めて?」
「え?」
「見たのは初めてなの?」
「・・は、初めてに決まってるじゃないですか!」
またもや大きくなってしまう声を辛うじて抑えながら答えるが、若干、怯みがちな様子は否めない。
しのぶとて一人の女として興味が無いわけではなく、インターネットで調べたことはあるし、様々な種類の性具が存在すること自体は知っていた。
ただ、実物を自分の目で見たのが生まれて初めてなのは、間違いなく本当のことであり、大量の実物に圧倒されていたのだ。
「あっちに『お試し用』があるよ。」
「え?え?本当に?」
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