不意に声を掛けられた二人の少女は、訝しげな表情を浮かべながらも、修学旅行の自由行動時間である旨を説明する。
「そうなんだ。でも自由行動って普通、五人一組くらいじゃないの?」
確かにその通りだが、四人組の一人は忌引きで旅行自体に不参加、もう一人は体調を崩して宿で待機しているとのこと。
しのぶからすれば、流石に第三者が近くにいる状態で痴態を晒さないように清水が配慮しているに過ぎないと思い混んでいたのだが、事実は違った。
「君達、この女の人ってどんな人か分かる?」
「どんな人・・?」
首を傾げる二人の少女に向かって清水は続ける。
「この女の人はね・・」
もったいぶるように言葉を切った清水がしのぶに視線を投げ掛けた瞬間、しのぶは清水の真意を悟る。
(まさか・・そんな・・いくらなんでも・・。)
だが、しのぶの淡い希望は打ち砕かれた。
「この人のスカートの下、どうなっているか分かる?」
「・・どうなっているか・・?」
質問の意図を測りかねる二人の少女、そして走って逃げ出したい程の羞恥心に押し潰され、頬から血が引くしのぶ。
「・・見せてあげなさい。」
咽喉が引き攣り声も出せないしのぶは、小刻みに首を左右に振ることで拒否の意を示すが、清水は全く意に介さず少女達に語り掛ける。
「露出狂って分かるかな?」
「うーんと・・裸を見て欲しい・・人?」
「まぁ似てるけど・・ちょっと違うかな。」
そう言って清水はしのぶの性癖について簡単な説明をしたが少女の一人は露出の目的自体、つまり羞恥心と性的な昂ぶりの関係が理解出来ていないようであり、ひょっとしたら自慰の経験すら無いのかもしれない。
では、もう一人はと言えば、少なくとも理解はしており、興味津々といった様子でしのぶを凝視している。
「・・でも・・そんな人、本当にいるの?」
「いるんだな。これが。」
そう言って清水は、しのぶに向かって恥ずかしい姿を晒すよう促した。
そして話は漸く物語冒頭の現在に至る。
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