「展望台・・ですか?」
「うん。一見の価値あり、だよ。この時間なら人も少ないし。」
目的の展望フロアに到着すると、清水は最上階の有料展望フロアへの入場券売場に近づき、自動発券機で入場券を二枚購入し、しのぶに一枚を手渡す。
「・・ありがとうございます。」
二人が駅の自動改札口に似たフラップ式のゲートを通過して再びエレベーターに乗り込むと、最上階の展望フロアまでノンストップで上昇を始める。
到着した最上階の展望フロアは確かに一見の価値があった。
五メートル程の幅の通路が三十メートル程の直線となり、俯瞰すれば、おそらく正方形に近い展望通路となっている。
更には四メートル程の高さがある天井。
特筆すべきは要所要所にある太い柱を除けば、ほぼ壁全面が嵌め殺しのガラスにより、眼下の風景が一望可能になっている。
「うわぁ。」
しのぶは思わず感嘆の声を漏らす。
「ね?凄いでしょ?」
「はい。凄いです。」
ガラスに近寄ると眼下には歩道を行き交う人間が芥子粒のようだ。
そう思った瞬間、背後にいる清水が口を開いた。
「有馬さん、スカートの裾を摘んで少しずつ前に浮かしてごらん。」
「!」
思わず一歩後退ったしのぶは、あることに気付いた。
(・・下から見上げたら・・スカートの中・・覗けちゃう・・。)
そんなことは有り得なかったし、しのぶにもそれは分かっていた。
地上を蠢く点にしか見えない何百、何千もの歩行者が展望台を見上げたとて、誰がしのぶの姿を視認できるであろうか。
仮に出来たとしても、スカートの中まで視認できる筈がない。
だが一度妄想に取り憑かれると、恐ろしい程の現実感がしのぶの精神を侵し始めた。
「ほら。ちゃんと前に出て。それに脚も少し広げた方がいい。」
清水の手が軽く肩に添えられて前進を促すと、しのぶは躊躇いながらもガラス張りの壁の前に立つ。
「そのままスカートを浮かしてごらん。太腿とスカートの間に隙間を作るイメージだね。」
(・・大丈夫。下から見える筈なんてない。)
この時点でしのぶは清水の術中に嵌っていた。
見えるか見えないかは問題ではなく、自らの秘部を晒す行為に至ってしまったことが問題であることにしのぶは気付いていない。
はしたない行為に耽りながら、甘美な悦びに身を震わせるしのぶは、既に発情した牝に過ぎなくなっていた。
(あぁ。また・・溢れてる。)
清水の指示に従い細い脚を僅かに開いた為、辛うじて溢れずにいた蜜が再びしのぶの太腿を伝い始める。
と、その時であった。
エレベーターの方角から声が聞こえたような気がしたしのぶは思わずスカートから手を離す。
同時に清水もエレベーターの方角を振り向き、様子を伺っていた。
空耳ではない。
徐々に近づいてくる声は一人ではなく、そして若い女性、いや幼い少女のようだ。
角を曲がって姿を現せたのはブレザーの制服を着た二人の少女、、恐らくは中学生、、であった。
外の風景を見ながら、あちらを指差し、こちらの風景をスマホで撮影しつつ、いつの間にか会話の内容が聞き取れる距離まで近づくと、二人の話す言葉のイントネーションが標準語とは異なることに気付く。
その時であった。
「旅行中・・修学旅行かな?」
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